宿題はやらなくていいよ

中3は今週末に模試を行います。

ちなみに11月、12月、1月の最後の3回は、生徒にとっては合格判定の重みが増すようです。結果を受け取ったときの生徒の反応がそれまでの回とは微妙に違うのを毎年感じます。

夏から秋にかけては合格判定がDとかCでも「まだまだこれから!」と思えますが、冬になるともう先は少ない。だから一回一回が切実になるのでしょう。

だからこそ、塾としては今回は良い結果を出してもらいたい。偏差値や合格判定が上がれば、このあとの勉強がますますノッてくるのは例年の生徒を見ていて分かります。

ということで、先週末は特進クラスのメンバーにはいつもより多めの宿題を与えました。

次から次に渡される宿題プリントに、「え~今回多くない?」「え~まだあるの?」「多いー!」という声が聞かれました。

「多い?そりゃあ来週模試だからね」

「えー!でもこれはちょっと…」

困った顔の女子たちが互いに顔を見合わせます。私はため息を一つつきながら言いました。「あーそう。ならやんなくていいよ。」

すると女子たちは「えっ?」という顔でこちらを見ます。

「いいよ別にやんなくて。

 例えばこのプリントはね、誰だったっけ…ああUさんか。

 Uさんが英語の第二問が弱いと言うからほかのみんなもそうだろうと思って作ったんだ。実際みんな弱いよね、ここ。

 英語のこの部分だけに4枚も…ってのは普通はしないけど、来週の模試のためになればと思って用意したの。」

そう言って女の子たちの顔を見渡します。Uさんはありがたそうにしていましたが、困った顔の女子たちはあまり納得のいっていない顔に見えました。

「だからさ…、別にこれ、やんなくていいって。

 大体『宿題』ってさ、本当はなくていいものなんだよ。

 最近一高も宿題を出すようになってね、俺は悲しくってたまらない。あれもやれ、これもやれってさ…。

 いらねーって。俺は俺で懸案抱えて生きてんだ!関わらないでくれって思うよ。」

「ケンアンってなに?」

「はぁ~…懸案も分からんか…。抱えている課題のこと。オレが高校のころの一高は宿題なんてなかった。

 俺はありがたかったよ。どうしても解けない数学の問題を常に抱えていたからね。宿題なんて出されたらそれをやるヒマないじゃん。

 あのさ…、家で勉強を全くやらない人…、一般的には成績が良くない人かな?

 そういう人には宿題はあった方がいいと思うよ。だってやらないんだからさ。そのまま放っておいたら落ちるところまで落ちてしまうもんね。

 でも、一高でそれをやっちゃいけないよ。それじゃあ、指示待ち人間を育成してるようなもんじゃん。でもまあレベルが低くなってそれどころじゃないのかもしれないけどね。

 ほかの例ではお前たちの中学校もそう。いやー去年はビックリしたなあ。
 
 〇〇中の英語の宿題なんだけどさ…、単語練習のプリントで、左に『pen』と書いてあって、隣に10回練習しないといけないってやつ。」

「あ、そうそう!〇〇先生だ!」
「あれはメンドクサイよね」
「でもやんないと内申点に響くし…」

「はい、出た、内申点。ホントこれには困ったもんだけどさ…

 まあでも内申はちょっとおいといて、受験も差し迫った2月ごろの宿題としてそれはどうなの?いいだろやんなくて。そんなの自分で判断しろって話だよ。

 だからさっきオレが出した宿題もさ…、

 『先生!4枚のうち1枚はやりましたがほかはやっていません。私は理科の飽和水蒸気量と歴史の江戸時代が苦手で、土日はそれを集中的にやってました。』

 とでも言ったらさ…、俺はきっと涙を流して喜ぶよ。『ああ~、ちょっと見ないうちにこんなにたくましくなって…』って。」

「なにそれ、キモい!」

「出た、キモイしか言えない単細胞生物。いいなあお前は分裂ができて。オレも分裂して自分のコピーに授業をやらせて休みたいよ。」

「ふふふ」

「とにかくさ、宿題が全てと思うなよ。自分にとって今何が大切なのか、人から言われずとも分かるでしょ?それをしっかりやれってことだ!」

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勝ちたくて芝居を打つ

中2先週の授業にて―

私「というわけで、目標は10位以内でいいね!」

A「いやー…無理っすね…」

B「そうだよ、だって〇〇とか〇〇とか、天才だもん」

C「ははは、俺たちとは違うよね」

「こ…こら…お…お前らな…なんだよその『俺たちとは違う』って…言ってて悲しくない?なんかこうさ…プライドっつーもんはないのかね、まったく… 

 俺もさ…中学で20番くらいのとき、確かに実力を認めている相手はいたよ。

 でも、そいつに敵わないとは思わなかった。…勝ちたい!なんとか1点でも上回りたい…と思ったな。

 例えばさ、俺は英語のリスニングではよく芝居を打った。

 リスニングが流れてさ、『ア』なになに…『イ』なになに…と言うでしょ。

 そのとき、あっ!答えは『イ』だ!と思うけど、わざと軽く首を横に振る。斜め後ろに座っているライバルにウソの信号を送るんだ」

話を聞いて、男子連中は「うそ~!」「そこまでやるか!」と笑っています。

「まだ続きがある。その後、『ウ』なになに…『エ』なになに…となって、『エ』のときにね…、これだ!とわざとらしく手を打ったり、ウンウンと首を縦に振ったりして、その『エ』のタイミングで答えに『イ』と書く。

 すると敵はこう思う。いま工藤は『エ』で動いた!…ってことは…答えは『エ』か?ってね。

 こうなると『イ』で首を横に振ったのもボディーブローのように効いてくる。

 『イ』かと思ったけど、あいつはそれを否定して『エ』で反応した…じゃあここはやっぱり『エ』なのか…ってね」

すると「ええ~」「う、うわー…」とクラスはいろんな反応。

「しかも、鉛筆が机にあたる音…、あれでバレないように答えをひっそり書くんだ。音を立てないように。

 あとは逆もね。逆ってのは音も使うってこと。慎重に画数を合わせてね…。

 ほら、『エ』は3画、『イ』は2画でしょ。

 『エ』で演技しているのに、カンカンと『イ』の2画、つまり鉛筆のあたる音が2回では不審に思われるだろ。

 だから、『イ』と書いてもう一回、どこかに点を打って、きっちり3画に仕上げる。

 そこまでやらないと優秀なあいつには見破られると思ってね」

「うわーー!!」と男子。女子は幾分引いています。

「なんか引いてるみたいだけどさ…まあ、確かにちょっとおかしいよ(笑)

 でもとにかく、俺はそのぐらい勝ちたかったってこと。

 お前らのように『どうせ無理』とか言って死人のような暮らしを送るのはまっぴらゴメンなの。

 もちろん、そのあと1位を取るようになってからはやってないよ。

 そこまでくるとさ…他人というより自分との勝負だからね。

 おー、自分との勝負…カッコいいなこれ(笑)」

「どこが!」女子が笑いながらツッコミを入れます。

「とにかくさ、無理はやめてよ無理は…。それ聞くとなんかさ…教えてて空しくなってくるんだよ…」 

そう言って男子チームの方を見ると、否定はしないけど苦笑いを浮かべています。

「俺は『もっと点を取りたい』『もっと上に行きたい』と思う人と組みたいんだ。わかったな!さあ、では今日のところを始めよう!」

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好成績のタネ明かし

<前期の続きpart.4>

 勝負に負け…屈辱を感じながらも、どんな勉強を?とS君に聞くと、彼はあっさりこう答えた。

 『そりゃあ、俺は勉強やってるからねぇ』

 …えっ?

 俺はその当たり前すぎる答えを聞いて驚いた。

 『えっ?お前勉強やってんの?』

 『何を失礼な。そりゃやってるよ』

 『ええ~っ?…だってお前んち…いつも溜まり場じゃん…』

 『そうだねぇ』

 『11時くらいまで、いっつもマージャンやってたろ』

 『ああ』

 『じゃあ、いつ勉強してんの?土日?』

 『いや、毎日』

 『えっ?どのくらい?』

 『う~ん…大体5時間ぐらいかな…』

 『な…なにぃ…?』

 いやー、このときの衝撃っていったらなかったな…。しばらく呆然と立ち尽くしたあと、やっとの思いで俺は聞いた。

 『ご…5時間て…何時から何時?』

 『大体みんな帰って風呂入ってからだから…11時半ぐらいからかなぁ』

 『…そ…それで?』

 『ん?だから…4時ぐらいまで』

 『よ…4時???』

 第二の衝撃だった。そんなことが可能なのかと思ったね。

 それじゃあ全然寝れてねえじゃねぇか!って、とても驚いたのを覚えてるよ。

 一応、何時に起きるのか聞いたら、8時ちょっと前とのこと。

 一瞬それでは…と思ったけど、やつの家は学校から歩いて3分のところだ。

 なら学校に間に合うか…と思ったけれども…

 『睡眠時間が4時間?それを毎日?』

 『ああ』

 『眠くないの?』

 『もう慣れたよ』

 『毎日って…さ…365日?』

 『うん、もちろん』

 『えっ?クリスマスとか元日とかも?』

 『クリスマスって、お前ナァ(笑)もちろんだよ』

 はい、第三の衝撃。

 いやぁ、すごいねどうも。何かがあるから今日は勉強いっか…みたいなことがS君にはないんだな。

 そのあとも色々聞いたら、一日5時間の毎日勉強は、小学校高学年から始まったそうだ。

 そして中学3年間ももちろん続き、現在に至るんだって。

 いやあ、たまげたね。こりゃ勝てないわ。

 同じ脳ミソだったとして、向こうの方が何時間もやってんだからさ…

 そのあと俺も聞かれたんだ。
 
 『お前だってバイト終わってから勉強やってるんだろ』って。

 『いやいや夜11時過ぎから勉強とかって…俺はそんなの無理だから。俺は7時間は寝ないとダメだ。家から学校まで1時間かかるし、平日はやれないよ』と言ったら、今度はやつがたいそうビックリしてね。

 『勉強やってないのにどうしてそんなに成績いいんだ』って。

 やつは、普段勉強もせずに成績が悪いやつが大嫌いだった。だから成績がいいやつは自分と同じようにやることはきちんとやっていると思っていたんだろう。こっちを見て不思議でたまらないという顔をしていたので、俺は慌てて弁明した。

 いやいや俺は土日にガーッとやるタイプだし、解けない問題を日常生活の中で何日も考えたりするから、これでも一応脳ミソは人一倍使ってるんだよと。

そしたらお前みたいなのを天才と言うんだと言われたけど、いやいやお前に勝てていないからって言ってね。

 さ、話を戻そう。

 結局伝えたかったことは…、とにかく、頭のいい人間は、すべからく勉強をやっているということだ。

 頭のいい人は、自分なんかとは脳の構造が違うんだろ…と思っていたら大間違い。

 一高のトップクラスですら、結局は勉強量なんだからさ…

 中学校の10位以内なんて、たかが知れていると思わない?

 『あいつは天才だ!勝てっこない!』なんて言うけどさ…そんなの幻想なんだよ、幻想。わかった?」

生徒らは私の話を大変興味深そうに聞いていました。

ちょっとでも自分の可能性を信じてくれたらいいんだけどな。

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真剣勝負

<前回の続きpart.3>

「同級生のたまり場となり、毎日自宅がマージャン会場と化していたS君だが、テストになると…

 常に俺の上を行っていた。

 俺が10位なら、やつは8位。俺が7位ならやつは5位とかね。

 俺は思ったよ。

 ほかのガリ勉君には負けてもいいけど、やつに勝てないのはどうしてだ?

 オレとやつの脳ミソに、何か違いでもあるのか?

 いやいやそんなワケはない。

 そんなバカなことはない。

 ならどうして勝てないんだ?とね。

 高2の学年末、もうこれが最後の勝負になるだろうと思った。

 やつは文系で俺は理系だ。高3ではもう戦えない。

 だから最後のチャンスということで、そのときは平日もよく勉強をやった。

 好きな数学だけでなく、今まで適当に済ませていた苦手科目も率先してやった。

 そしてテストが終わり…

 結果は…また負けだった。

 オレが5位でやつが3位だったと思う。

 ガックリきて、やつに打ち明けた。

 『実はオレ…今回が最後と思ってお前と勝負をしていたんだけどな…勝てなかった…』

 すると、やつはオレの肩をポンと叩きながらこう言った。

 『ほう、工藤!オレと勝負してたの?ハハハ、10年早えよ!』
 
 やつは弱い相手には優しいが、自分が認めた相手には軽口を叩くクセがあった。

 だから、俺はそのように接してもらったことがうれしかった。

 『いや~不思議だな。どう考えてもお前の脳ミソより、オレの方が質、量、香り…全てにおいて上なんだがな』

 『ハッハハハ、相変わらず面白いこと言うなぁ、お前は!』

 その後、しばらく沈黙があったが、俺はとうとう切り出した。
 
 『お前さ…なんでそんなに点が取れんだ?』

 ああ、とうとう言っちまった…
 
 この質問だけは、したくはなかったのに…

 これで上下関係がハッキリしてしまったな…と思った。

 しかし…どうしても解せない俺は…タブーに触れてでも真相を聞きだしたかった。

 すると、やつは少し真面目な顔をして言った。

 『そりゃあ、俺は…』 (つづく)

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高校時代の強敵(とも)たち

<前回の続きpart.2>

「むかーし、むかし…ってそんな前でもないけどさ。

 オレの高校時代の一高の10位以内というのは…ほとんどが勉強の虫だった。

 今医者をやっている双子のNブラザーズなんかは、部活をしないで毎日4時に家に帰り、住み込みの家庭教師が連日12時まで勉強を教えているってウワサだった。

 ほかのトップ層の連中も、部活をやっている人間もいたけど、大体は夕方6時7時から夜中まで、ガッチリ勉強をやっていたようだった。

 一応、オレも10位以内にはいたが、そいつらに負けるのはしょうがないと思った。

 なぜなら毎日6時間も7時間も勉強できないからね。

 俺は軟式野球のキャプテンをやっていて、部室の戸締りとかあって、学校を出るのが夜7時ぐらいだった。

 しかもそのあとほぼ毎日アルバイトをしていたから、家に帰るのは11時。

 帰ったら、もうそのままグタッと泥のように眠る日々で、勉強なんてこれっぽっちもしなかった。

 ただ、土日はよくやった。

 朝起きて、懸案だった数学の問題を机に広げるんだ。

 今日は学校がない。よ~し、やるぞ~!って感じでね…

 気づいたら夜の12時なんてことがザラだった。

 毎日コツコツは苦手だけど、ここ一番のパワーはあるというタイプだったんだな。

 そんな俺が唯一、コイツにだけは勝ちたいと思う人間がいた。

 S君というやつなんだが、こいつはテニス部のキャプテンだった。

 俺らが帰るのはいつも部室の戸締りをしてからだから、二人とも学校を出る時間は遅く、早い時間からの勉強はできなかった。

 さらにS君は、学校のすぐそばに自宅があった。

 これだけ聞くと、いいことのように聞こえるが…そうじゃない。

 やつの親は共働きで、両親の帰りは深夜だったんだ。

 これが何を意味するか分かる?

 彼の家はね…俺らの格好の遊び場になったんだよ。

 毎日たくさんの友達がやつの家にたむろった。

 もう毎日、毎日、マージャンをやったりゲームをやったりしてね。

 俺もバイトのスキマを見てやつの家に通ったが…
 
 まあ、学校から近いから誰かしらは常にいる、でも親はいないというね…まさに俺らにとってパラダイス。いや~楽しかったな~。

 そんな感じで、やつの家は毎日10時過ぎまで悪友どもがワイワイやっているんだ。どう考えても勉強なんてできっこないよな。

 しかし、やつはテストになると… (つづく)

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プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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