逆転ホームラン

先週の土曜日―
授業開始5分前に教室に入ると、約20人ほどの中3生がすでに来ていました。

ある者は問題集を解き、(熱心だねぇ)
ある者は宿題を慌ててやり、(コラッ!)
ある者は隣と談笑しています。

私は生徒らと挨拶を交わしながら教卓の前へ。

小脇に抱えたテキスト類を机にドカッと置いて室内を改めて見回すと、何人かと目が合いました。

(うん、なかなかいい表情になってきたな)
私は内心うれしくなりました。

いい表情と言ってもこれがなかなか形容しがたいのですが…。

とにかく何というか、中1、中2に見られるような、ボーっとしたところがありません。

勉強量に裏打ちされた自信というか、
これからやってくる試練を正面から受け止める覚悟というか、

みんなしっかりと地に足がついているな…と、そんな感覚を一瞥して読み取ることができました。

(よ~し、では早速例のモノ※を…)

私は何も言わずにホワイトボードに向かって図形を書き、そこに1:2とか2:5と数字を入れていきました。

※過去の図形特訓の模様はこちら↓
図形特訓1
図形特訓2

途端に方々から、「うわ~!」「またやるの~!」「よっしゃ、燃えてきた~!」という声が上がります。

書き終えて生徒の方に向き直ると、なんだかんだ言いつつもみんなワクワクして楽しそう。そうだよ、それだ、その表情!まいったな~とか言ってても実は楽しいんだろう?

「さあっ、こないだは散々やったけど解けるかなあ?まあ解けて5人ほどかな?」
さらにみんなの好奇心を煽り立てると、

「クソッ、今度こそ解くッ!」と男子。いいねえ、いいねえ!

そして―

「できました!」と一人の生徒が声をあげました。
その子は吹奏楽部の女子で、数学とはもっとも縁遠い存在、世界中の人が解けてもこの子だけは解けない、という生徒でした。

「ウソだろ(笑)お前が解けるわけないじゃん」
本来このような生徒を傷つけるようなことは絶対に口にしませんが、この人の場合は数学ができないというのはすでに笑いに昇華されるレベルになっています。

「ホントだよ!自信ないけど(笑)」
「じゃあ言ってみて」

まだみんな考え中ですが、
当たるわけがないので答えを言わせてみると「9:16」と答えました。

「ほう、では書いておこう」
問題は即興で作ったので、この段階では私も答えが出ていません。
9:16と板書。

その後、2番手が「できました」と発生。
このクラスの絶対エースなのでみんなも気になるところ。

「答えをそうぞ」
「9:16です」

「な…なぬっ?」

すぐに手前に座る女子を見る。
さっきまでのあきらめ顔から一転、色めき立っています。

そして3番目が挙手。こちらもエースの男子です。
答えを言わせると「9:8」だと言いました。

次も一高を受ける男子、「9:8」と言います。

「ほうこれは面白くなってきた。
9:8と言った二人は信頼度20、20で計40ポイント。
でも、エースが9:16と言ったからね。
あいつは信頼度30で…
でもお前の信頼度はマイナス30だから…プラマイゼロか」

自分で言って自分で笑うと、女子は「ひどい!」と大声。

「いや~悪い悪い(笑)でも、面白くなってきたなあ」

その後も9:16と9:8が分かれます。5人ずつになったところで終了。

「さあ、では解答を始めますか」
みんなが興味津々で見守る中やっていくと…

なんと、答えは9:16に。

「やった!」と女子。
「はあ~~~、こんなことってあるんだねぇ」

「すごくないですか?私、一番最初に解いた!」
「ホントだね…いや…まだ信じられない(笑)」

顔をくしゃくしゃにして喜ぶその目にはうっすら光るものが見えます。

(今だッ!)

私はここぞとばかりに聞きました。
「どうだ?数学って楽しいと思わないか?」

するとあんなに拒絶していた子が、、、

どうして数学って一つしか答えがないんですか!と名言を吐いていた子が、、、

「はい、思いました」と笑顔ではっきり言いました。

「そっか、良かったな (うう、最高!)」

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ジャンル : 学校・教育

プロフィール

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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