個別指導の生徒たち②

<前回の続き>

「でもこっちは3月からダラけ気味ですね…」

講師が赤ペンでポンとたたいたファイルには、去年12月に個別指導を始めた新中3女子の名前が。

「あれ?その子は模範的な生徒じゃなかったっけ?」

確かついこないだ、言われた以上に宿題をやったのか、「私はこんなところまでやったんだよ」と先生に大いばりしていたはず。それがどうして?

「計算力がちょっと…。
乗法公式をなかなか覚えられなくて、もともとの計算スピードも遅いから、数学が嫌いになっちゃったのかも…」

「まあそれもあるんだろうけどさ…
ちゃんとほめてた?そのがんばってるときに」

「ええ、まあ一応…。

ただ…そうですね…、
もっと大げさにほめておけばよかったかも…

あそこはすごい年の離れた妹がいるらしいんです。3歳の妹が。

多分お母さんとかそっちにかかりっきりで…ほめられたかったのかもしれません」

「うわ~それはあるな、うん…。
あと、英語は?」

「英語もヤバいです。
基本的な単語がどうにも覚えられません」

「でも宿題はやってくるんでしょ?」

「はい…ただやり方が効率悪いんです」

「それは?具体的に」

「次の週に単語テストをやると予告してその練習を宿題にするんですけど…真面目すぎるというか」

「え?」

「例えばすごく簡単な単語もノートの端から端まで練習するんですよ。as as as as…って具合に」

「あら~…」

「それでいて長くて覚えにくい単語も一列だけやってそれ以上やりません。ホントは覚えるまでもっとやんないといけないのに」

「ああ、いるいる。几帳面な女の子がハマりやすいやつだ…。
そこを注意してもなかなか治らないんだよな。
本人的には覚えることよりノートが綺麗な方が優先されるみたいで…」

「どうしたらいいでしょう」

「そういう子には結果がすべてと言うしかないな。

今の時代、結果が伴わなくても努力したかどうかが大事なんていうでしょ?内申点とか…

だいたい学校の宿題がそうなんだ。

『ワークをやって提出すれば良し』
『やらない、提出しないのはダメ』

なんて言ってるからその子のような勉強法になっちゃう。

思うんだけど、点がいいやつは、宿題なんかやらなくてもいいんだよ。
だって点が取れてるんだからさ。

点を取れない奴が、点を取るにはどうしたらいいかと考えた結果、

ああ、このワークはやった方がいいな、この単語はもっと練習した方がいいなと思ってやるのがベストだよね。

だからこうしよう。

その子には宿題を出さなくていい」

「えっ??」

「その代り来週ここの小テストをやるという予告をして実際その問題を渡して。そこの勉強をやるかどうかはお任せだよと言ってね」

「は、はあ…」

「で…合格点は70ぐらいにする?
50でもいいや。
その子がちょっと勉強すれば取れる点に設定して。

で、もし、それに届かなかったら…
土曜日に強制的に呼ぶ。そこで再テストだ。

そうすれば、50取るにはどうしたらいいか考えるだろ。

そこでその子もようやく悟るんじゃないかな。

今までのように、ノートを美術品にしても意味がないと」

「なるほど!それいいかもしれないですね」

「ただオレらの手間がメッチャ大変になるけどね…。
まあでも、今シメないとズルズルいっちゃうからな…
中総体終わったらすぐに始めよう!」

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ジャンル : 学校・教育

プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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