ナマケモノとの約束

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「ビリギャルならぬビリボーイね。それがどうやって1年間で東北大に受かるまでになったかってことなんだけど…」

私がこう言うと、その女子生徒は「先生、東北大に行ったんですか?」と驚いて聞きました。

「ん?…まあ、そうだけど」と照れる講師の横で私は続けました。

「でも、こいつはヒドかったよ。英語が全くできないって話だから、まずは学校の教科書を理解しようって言って教科書の訳とか英文法を丁寧に教えていったんだけどね…全然ダメ。

いつも部活が終わって塾に来るのが9時でしょ。
そんで『さあやろうか』って言うんだけど、『すいません、ちょっとだけ寝せてもらってもいいですか』って言ってね。

で、そのまま床に倒れこむように寝て10分後にはもうぐっすり熟睡してんの。どうにもならなかったね。って…オレ、何かウソ言ってる?」

私が講師に話を振ると、彼は苦笑いして「いや・・・そうです」
女子生徒もその様子を見てにっこり。
私は続けました。

「常にそんな感じでね…、宿題はやらない…、机に向かっても1分と経たないうちにうつらうつらする…もうホントどうしようもなかったね。だから、当然2月の学年末テストは全然ダメ。…だよね?」

「ええ…まあ…」と恥ずかしそうにうなずく講師。

「で、4月になった。もう高3だ。
オレは考えたよ。
これだけのクズに点を取らせるにはどうしたらいいかってね。

それでやることを絞りに絞った。

1つは単語ね。

もう英文法は捨てていい。
でも単語だけは1週間に100個しっかり覚えてこよう、約束だよって言ってね…

当時、入試が英文法よりも単語の知識を問う傾向に変わってきていたんだ。まあこれは今もそうなんだけど…。

だから単語さえ完璧ならやれるという自信があった。

で、お前と同じようにこの本が最適だろうということでやり始めたんだけど…

でも、これだけは不思議とやってくれたんだよナァ」

私が講師の顔をしみじみと眺めると、彼は「まあ…はは…」と苦笑い。

「なんで?あんなにナマケモノだったお前がどうして単語だけは急にやりだしたの?」

「え?…いやあ、まあ…」

「ハッキリしろよ。ここが大事なんだって。
4月になったから心機一転てか?」

「う~ん…まあそうですかねぇ」

「ちっ…食えねえ奴だな」

「でも一日20分ならやれると思いました」

「え?一日20分?それを毎日?」

「はい」

「CDを聞いて後に続いて言うってやつでしょ?」

「ああ、はい」

「書いたりとかは?」

「してないです。聞いて話すだけです」

(よしいいぞ!)

私は心の中でガッツポーズをしました。
そういう話を待っていたんだ。
この子のためになる!
具体的であればあるほどいい。

女子生徒をチラッと見ると、身を乗り出して話を聞いています。よし!

「単語テストの結果はどうだったっけ?50問中…」

「だいたい45とかですね」

「いつもそうだったかな?500番台とか1000番台でも?」

「そうですね。常にだいたい45とか46でした」

「ふ~ん」

表面上、へ~そうだったんだ~と平静を装うも、
内心は、どうだッ!聞いたか、今の?と興奮を抑えきれない私は、
今日の単語テストで10問しかできていない女子の方を向いて言いました。

「こんなやつでも常に9割の出来をキープできたんだ。お前にやれないことはないと思うけどね」(つづく)

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ジャンル : 学校・教育

プロフィール

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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