スイッチの入れ方

「ということで、じゃあ次の行。
T君、英文読んで和訳して」

「・・・」

「T君!」

「あ、はいっ…」

T君は今日も部活で10分遅刻。
私に指名されて必死に教科書に目を走らせるも…「次の行」がどこだか分かっていない様子。

お疲れなのはわかるんだけど…ここで折れてほしくはないなあ…

「もういい。じゃあ次。Aさん!」

私はT君にわざと厳しい口調で突き放し、ほかの生徒に当てました。

Aさんはテスト前になるとほかの人よりも熱心に問題集を解いてがんばる子ですが、普段の授業ではぽ~っとしてしまうことが度々あり、いまもこちらから見て明らかにその状態でした。

「Aさん!」
私はもう一度名前を呼びましたが、その生徒は教科書に目を落としたままで、当てられた場所が分かっていない様子。

「はぁ…もういいわ!」

ここも強い調子でサッと切り上げました。
今の一言でビシッと気合が入ればいいんだが…。

その後クラス全員一周し、私から見て集中力が欠如している生徒は5名ほどいました。。。

残暑が残るこの季節。
お盆明けで、部活も始まったばかりで、今は中学生にとってもしかしたら一年で一番集中力がない時期かもしれません。

しかし…

勉強の方は、特に数学は「一次関数」という中学最大級のヤマ場にいままさに入ったばかりで、ここはノロノロしていたら一瞬で置いてかれてしまう難所です。

生徒に同情はするけど、ここはビシッとシメないとこの子たちのためになりません。

(さて、どうしたものか…)

あごに手をやりながら問題集を解く生徒たちの間を回っていると、お盆中の一高同窓会で友人が言ったセリフが脳にこだましました。

「ウチの子、『両立する』って言っておきながら、まだやる気のスイッチが入ってねえんだよな…」
過去のブログはこちら

(ふ~ん…まさにあいつの言った通り。
こういうとき生徒にビシッと電流を走らせる塾がありがたいんだったよな)

私は白板前に立って生徒の方に向き直りました。

さてどうしよう。

一次関数がどれだけ受験生泣かせの難関かを言って聞かせるか…

…いや、ダメだ。こんな難しい話は入ってこないな…

じゃあ、ホワイトボードをバシンと叩いて脅かすか。
こうすればポヤンとしている連中は目を覚ますに違いないが…

…でも、ダメだな。あのマジメな女の子たちがビクッとしちゃっていい迷惑だ。

さて……う~ん。。。

「あのさー」

私は気づくともう全体に向かって話をしていました。

「さっきから見てると、問題が分かんない以前に場所が分からないとか言ってボヤ~っとしてるやつがいるんだけどさ」

眉間にしわを寄せて全体を見回すと、ただならぬ雰囲気を感じたのかみんな神妙な面持ちでこちらを正視しました。

(さてここだ。
「このままだとテストで悪い点取っちゃうよ」では弱い。)

「そろそろ模試が却ってくる。
言っとくけど、模試の結果と普段の授業態度を見てまもなくクラス分けするからね」

とっさに出た。
この時期、クラス分けは毎年やるが特に予告なくやっていた。
しかしクラスの反応は思いがけないものだった。

「えっ!」
と、みんなが息を飲む。これだ!

「どこの行ですか?とかさ、ボーっとしていたり、宿題やってこないような不届きな連中はね、これから先授業についてこれないから特進クラスはムリだ。」

有無を言わせないような言い方で話すと、これが効いたのかみんなの姿勢がシャンとなり、教室内の温度が2度ほど下がったように感じました。

「オレはね、もっと点を取りたい!あの高校に受かりたい!って頑張ってる人と組みたいんだ。このクラスはそういう人たちで固める。

自分のペースでゆっくりやりたい人はね、個別もあるからそっちを進めるよ」

そう言うと、一人の女子が焦った調子で「えっ!せ、先生、模試で決めるんですか」

「もちろんそれは参考にするけどね。
でも今回成績が良くてもボサッとしてるやつはこのあと英語も数学もついてこれないのは確実だ。そういう人はこのクラスは無理だ」

話を終えてさっきまで集中力のなかった面々をちらっと見ると、みな上体を起こし、口を結び、目には力が宿っていました。
スイッチ…入ったか?

「さて…では来週までの宿題だ。

ちょっと多いけど、みんなならやれると思う。信じてるぞ!」

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ジャンル : 学校・教育

プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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