宿題戦争①

午後4時半。
小学生の授業の始まりはいつも宿題のマル付けから始まります。

学年、科目がバラバラなのでこの時はいつも大忙し。

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この日は女の子が多いですが、一般的に言って女子は男子に比べて真面目です。
だから当然宿題もよくやってきます。
しかし、それは小学生までの話。
中学生になると…

**********************

午後6時50分からは中高生の指導。

私が中2の教室に入ると、ある女子が「せんせい~…」と申し訳なさそうに声をかけてきました。

この仕事を長いことやっていると、声のトーンと表情で話の中身が大体分かります。おそらく宿題をやってきていないという話に違いない。

「なにかね?」
努めて冷静に聞き返すと、相手は上体を前に倒し、猫が飼い主にゴロニャンとするときと同じ姿勢、同じ声色で言いました。「あの~、えいごを~、その~…」

(ふふふ…「えいごを~」で気づけってか、甘いわっ!)

一瞬笑いそうになるも、ここは厳しく押し返さないといけない。
私はグッとこらえて、いったい何の話?ととぼけた表情を作りました。
「ん?英語がどうしたって?」

「いや~、あのですね~」
その女子がうだうだやっていると、今が好機と見たのか、今度はほかの女子が声を上げました。「先生!わたし…宿題をやれませんでした」

「ぬゎんだとぉ~~~!」
最初の子は、私という強打者に対して丁寧に周辺から攻めてきているのに、この女子はいきなりど真ん中のストレートを放り込んできやがった。ここは当然ガツンと打ち返したる!

「え~だって~…宿題多い~!」
宿題をやってこないのは自分の怠慢ではない。その量が問題なのだ。とどのつまり、これだけの量を与えたアンタが悪いのだという論理。ほう、お前にしてはなかなかやるじゃないか。

「そう!理科も社会もさ~最近多すぎだよね~!」
最初に丁寧なピッチングを心がけていた女子も俄然攻勢に出てきました。
自分ひとりじゃない!仲間がいる!ならば、いまが攻め時だわ!ってか…こいつめ…

「土日はいろいろやることあるから無理!ねえ先生…もう少し少なくして~」
「そうそう!最近こっちも部活とかで忙しいんだよ~…平日なら頑張るからさ~土日はお願い」

逆ギレから一転、今度は甘い声を出したり、悲壮感を演出したり、緩急自在な投げ回し。お前らアレだ、今度役者のオーディションに応募したら?

そんなこんなしているうちに生徒が集まってきてみんなそろいました。

「よし、では始めよう。
まず、ついさっき2人の女子にさ…
なんとビックリ、宿題をやってきてないってカミングアウトされちゃったんだけどさ…
ほかにもやってない奴いるか?やってないなら今のうちに手を挙げて」

指の骨をバキボキ鳴らしながら教室を見渡すと、ほかに男子1人、女子1人が周りの様子を確認してからそろそろと手を挙げました。

「ふ~ん…最近どうもナメられてるようだなぁ。

これは…不本意だけど久々にアレをお見舞いするしかないかぁ。

むかし…
『あそこはヤバい教師がいるからやめた方がいいわよ』って名取が丘に悪い噂が立って以来、長らく封印してきたアレをね…とうとう繰り出す日がやってきたかぁ…」

凄みを聞かせて言うつもりが、言ってるうちにだんだんおかしくなってきて最後にはつい吹き出してしまいました。

あ~あ、最初は女子もビビッて聞いていたのに…いまはもう笑ってる…

だけど、ここは今後のためにもきちんとシメないといけない。
私は全体に向かって言いました。(つづく)

テーマ :
ジャンル : 学校・教育

プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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