ことば知らず1

「コウボウも筆の誤りというのがあるだろ」

先月のあるとき、私がちょっと計算ミスを犯したら、中3から散々バカにされたので一つ言い返してやりました。

しかし私の言葉に対する生徒らのリアクションはどうにも薄いもので、いま一つ伝わっている風には見えません。

「…え?…もしかして…今のことわざ知らないの?」

私の目の前に座っている、中学校トップクラスの女子に話を振ると、

「え?コウボウ?…光る棒のことですか?」と女子。

「……は?」

よく意味が分からず呆然としていると、後ろに座っている女子(こちらも別の中学校の5番以内)が、はははと笑いながら「光る棒じゃないでしょ!こう書くんだよ」と言って、ノートに「巧棒」と書きます。

「へぇ~そう書くんだぁ^^」
「ふふふ、『光る』はないでしょ(笑)」
「えへへ、わかんないよ~(笑)」

二人のやり取りが気になったのか、ほかの女子らもノートを覗き込み、ふ~ん、へぇ~、参考になった、などと言って笑います。

「コ…コラ……、キ…キミ…キミタチハ何ヲイッテンノカナ?」

私の高性能な脳ミソをもってしてもここまでとは知らなかった。受験直前の中3、しかも学年トップクラスの連中だというのに…

「コウボウっていうのは弘法大師のことだよっ!なんだその光る棒とか巧みな棒って!ヒドいなおい…」

その後、弘法は空海を指すとか、ことわざの意味とかを説明しましたが、こんなことも知らずに今まで来ていたなんて…と、言い難い無力感に襲われました。

授業後、しばし中空を見上げながら考え込みました。

(中3はもう受験なのでいまから言葉の学習をやってもな…

いくら数学とか英語ができたって、これじゃあダメじゃん…

ひょっとして国語ができない連中は、今みたいなのを全然知らないんじゃないの?

たとえば今の中2特進の連中は模試の国語が悪いけど…

あいつらももしかして…)

*******************

次の週、中2の授業のとき、今の“事件”について生徒に話をしました。

「というわけで、5教科で450点を取るトップクラスの連中なのに『弘法も筆の誤り』すら知らないんだからね…ヒドいもんだ…」

言い終わると同時に、生徒らの表情を鋭く観察すると…やはり知ったようには見えません…。こいつらもだ…

「どうも怪しいね。
 よし!学年末テストも終わったことだし、今日は言葉のテストをしよう!」

私がそういうと生徒らは一様に「え~!」と言いつつも、なんだかワクワクしている様子。

私はさっそく白板に問題を書いていきました。「(  )に当てはまることばを入れてくれ。」

①彼は周りに面倒ばかりかけて…まったく(  )を焼くよ

②彼はサバサバしていて(  )を割ったような性格だ。

③よし、今日はおいしい料理をつくるか、久々に(  )が鳴るね。

こんな感じで10個問題を書いてやらせると…出るわ出るわの珍解答。

①は、顔を焼く(死ぬって!)

②は、頭を割った性格(死んでるって!)

③は、腹が鳴る(ハラペコって意味じゃねーよ!)

とまあ、ひどいひどい…

②の問題で「頭?」と言った女子に吹き出した生徒がいたので、「ヒドイよな…正解言って」と振ると「ははは、口です」とさらり。

「お前はデカか!口を割った性格ってなんだよ…はい次」がっかりして隣に振ると

「え~、そこは『腹』です」

「ほぉ~感心だねぇ~、毎日鍛えてね、見事なまでに腹筋が割れてね…ってバカ野郎!

一度お前の学力について腹を割って話そうじゃねえか……って言う風に使うんだよっ!腹を割ったような性格ってなんだ…」

泣きそうになりながら次々当てるも正解者はなし。

「お前らさ、竹を割ったような性格…って聞いたことないの?」

「……」

「ほら、あれってパカーンって綺麗に割れるよね。そのぐらいさっぱりした性格ってこと」

意味を説明すると、ああなるほどとうなずく者が数名。ホントに知らなかったんだ…

「お前ら、バカすぎるっ!
 英語が喋れても関数が解けても全然ダメ!生きていけないよ!来週もやるぞっ!」

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ジャンル : 学校・教育

プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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