センター試験直前、秘奥義伝授

「いよいよ明日だな」午後4時、自習に来ていた高3男子一人一人に声をかけました。「どうだ?緊張してきた?」

すると「いや、まだ(笑)」「フツーですね(笑)」「う~ん…まあまあですかね」などと答えます。その表情からは、内心どう思ってるかはわかりません。

「ふん、まあ落ちついているようだけど…

ここはひとつ俺から最後のアドバイス。『受験当日の心得』を伝授してあげよう」

私がそう言うと、彼らはペンを止めてこちらを見上げました。

「昨日の夜遅く、一人の女子が塾に来た。ウチの卒業生でキミらの一つ上。今年も受験をする人だ。

彼女はこの一年間、明日のために頑張ってきたと言ってもいい。その女子が困った顔で『数学が…』と言った。

いろいろ聞くと、この一年で理科社会は良くなったらしい。暗記はね…勉強時間に比例して伸びるからね。

英語と国語はもともと良かった。

そして数学は…少しは良くなったけどまだまだ足りないらしい。そこでどうしたらいいものかという相談だった。

どうしたらと言われてもあと二日だからね。今すぐどうにかなるものではないんだけど…と困りながらも一つ忠告した。」

3人は自身に照らし合わせて考えているようで、身を乗り出してきました。

「それはね…問題を上から見下ろすということなんだ。

できない人は、数学の問題が配られた瞬間から『ああ…とうとう魔の時間がやってきた』みたくね、いやだな~いやだな~って思いながら問題用紙を開く。それがダメなんだよ。

数学の問題が自分より上の立場でね、『ああ、どうしようどうしよう』って、下から見上げるように問題に取り掛かる。それではね……それでは、ひらめかないんだよ。

数学なんて、ホントはこんな楽しいものはないんだけどなぁ(笑)

『人間は考える葦である』って言ったの誰だっけ?パスカルだっけ?

ほかのさ……理社とか英語なんて知ってるかどうかじゃん。知識があるかないかが勝負のポイントでさ…。それで勝っても負けてもさして感動はないよな。ま、大事ではあるけどさ。

一方、数学は自分の授かった脳ミソがどのぐらい機能するのか、考える力やひらめく力があるかどうかが試されるわけじゃん?これで勝ったら気分は最高だよな。逆に負けたらキツイけど(笑)

その子には『数学はそれが楽しいんじゃないか、試験とかじゃなく楽しんでくればいいんだよ』って言ったんだけど、逆に『どこが楽しいんですか(怒)』って言われてね…。まあ、いきなり好きになれって言っても難しいわな(笑)」

男子3人は、文系も一人いましたが、みんな数学の楽しさが分かるようで、笑って話を聞いています。

「たださ、ここからが大事なポイントなんだけどね…

たとえ楽しめなくっても、自分は気持ち的に上の立ち位置にいないといけないんだ。これがひらめくかどうかに深く関わるの。

オレもそういうことがあってね…。今から2,3年前だけど、ちょっと時間が空いて東大の数学を解いたことがあった。でも…なかなか解法が思いつかないんだな。

さすが東大だ、こりゃ難しいわ…なんて思ってそのあと解答を見たらね、『あ、なんだ簡単だったじゃん、なんでこれが思いつかなかったんだろ…』ってことがあってね。

そのとき思った。ああ、これは『東大』って名前にすでに飲まれていたんだなと。

もし大学名を伏せて出されていたら楽勝で思いつく解法だったに違いない。問題を下から見上げていたおかげで、視界が曇っていたんだな。

そのあと東北大とかセンターの数学に取り掛かったとき…、実は解法的にはそっちの方が難しい問題だったんだけど、そっちは割とあっさりひらめいた。

それは多分、問題をやる前からすでにその問題がオレの手のひらの上にあったからだと思う。

『さて、今回はどんな感じで攻めてくるんですか?』っていう気持ちね(笑)。たとえ群数列の複雑なやつでも『ほう!そっちからおいでなすったか!よーちよち、かわいいねーおいでおいで』って思っているから出来るんだと思う。

毎年さ、入試が終わると生徒が感想を言いに教室に来るんだけどさ、彼らは決まって言うんだ。『今年は今までと違って数学が難しかった』って(笑)

そんなことあるかい。難しいと感じてるだけ。問題を下から見上げてさ…つまりビビってんの。年々難しくなってるわけないのに、難しい難しいと感じちゃってるんだね。

いいか、お前らはそれじゃあダメだよ。

明日問題に対峙したらさ、まず両手をこすって舌なめずりするんだ。

『さあ、今日はどんな食材かな?楽しみ楽しみ』って調理人のような気持ちでね。そうすれば問題を見下ろせる。

お前ら笑ってるけどさ、これはホントに効くんだぞ。

あと、人に対してもやってね。周りはすべて下郎。しもべ。下等生物と思うんだ(笑)

教室に入って着席したらさ、腕を組んで周囲を眺めてこう思う。

『さあ、みんながんばれよー。数列とか、なっかなか難しいかもしれないけど…解けるといいね』って。

自分はすでに周りとは次元が違うんだからさ、周囲に対して気遣ってやらないと。これが本心からできたらホントにすごいけどね(笑)。

いいか、明日、恐がって緊張している人を見かけたら優しく微笑むんだぞ。「大丈夫、大丈夫だよ」って。

ちなみにこれは入試の話にとどまらない。人生においても当てはまるぞ。

たとえ隣に大きい予備校ができてもブルってはならない…ってこれはオレの話か(笑)

でもホントにそうだぞ。最初は震えあがったもんだけどさ…最近は『がんばれよ』と優しく言えるようになった。…と、言えるようになれって、自分に言い聞かせているってのがホンネだけどね(笑)

ほかには、たとえば将来、お前らの前にステキな女性が現れてさ、その人とお付き合いをしたいと思ったら…下にいてはダメだぞ。自分が上の立場に立ってその人を引っ張らないと。

あと将来、お前らが勤めた会社で何かプロジェクトがあったときもね、誰がやるんだろうと外から見ているのではダメだ。

周りの人間では役不足だろうからここは自分が…って思えないと。

どう?すべてに通じるでしょ?」

話を終えると、手前に座っていた男子がうなずきながらしみじみと言いました。「いや~メッチャ深いっすね~」

「うん。というわけで明日に向けてのオレの言葉は以上。

自分の実力以上は出せないけどさ、ホントは力があるのに実力を出し切れない人ってのがいるでしょ?

それはね…気持ちで負けてるからなの。

いいか、上から見下ろせば…必ず100%実力を出し切れる。明日は楽しんで来い!!!」

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ジャンル : 学校・教育

プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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