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中3特進クラスは10月から公立高校の入試過去問演習を行っています。

北海道や宮城以外の東北各県の問題は一通り終えました。

なぜ宮城だけ別扱いかというと、宮城のは問題が難しすぎるんですね。だからほかから始めていって少しずつ「入試問題はこんな感じだよ」と慣れさせていったのですが、11月末から授業で宮城の問題に入っていくと、やはり手が止まるようになりました。

特に数学の図形は難関で、いったい本番でこれが解ける人はどのぐらいいるんだろうかというぐらいの難問です。

「さあ、やってみよう!」と号令をかけて10分後、手が止まり始めるので少しずつ黒板にヒントを書いていきます。

20分後、まだみんなは集中して考えています。解答をやるにはまだ早いか…

30分後、まだ考えていられる人は大した集中力ですがその数は約半分。ほかの半分は問題を解くのをあきらめて次のページへ行ってしまいました。

しかし、それもやむを得ません。
というか、むしろ本番でこれが出てもおそらく解けないので、これを今ウンウン考えるのは非効率的。

授業では「30分考えてダメならそこはやらなくていいから次のページへ行くように、解説のときには一応話を聞いて」と指導しています。

問題はトップ校や高専を受ける数人の生徒です。

宮城の最後の問題は、一高二高を合格する人でも、9割の人間はきっと解けないと思われる難問なので、「合格」だけを考えたら本当は授業でわざわざ扱わなくてもいいのかもしれません。「ここは超難問だから、興味のある人だけ家で個人的にやってみたら」と。

事実、難しいのは飛ばして解けるところを確実に取る授業や演習を行っている塾はあるでしょう。客観的に見てもそちらの方が戦略的であると言えます。ウチの塾でも偏差値60以下の人には「難しいのはパスして取れるところを!」と常々言っています。

しかし、一高二高を受ける人にまでそれをやっていいのかというと…私はそうは思えません。

難しい問題をあれこれ考えて何時間も費やすのは不毛だ、分からなければ解答を見てやり方を覚え、さっさとほかの問題にあたった方が効率的だという考えは、書店にある勉強法関連の本を読むと確かに主流派と言えます。

でも…それじゃあダメなんだよなあ…というのが私の意見です。

ひ弱すぎる。貧弱ゥ貧弱ゥと叫びたくなります。

一高には受かるかもしれないけど…、

そんな勉強やってたんじゃあ、おそらく中から下で終わるでしょう。なぜなら考える力がないからです。

昔はそんな勉強でも良かったかもしれません。

アメリカに追いつけ追い越せと、既成の先端技術をむさぼるように吸収していた時代ならば、やれるものをやり、分からないのは解説書を読んで理解に努める勉強でよかったのです。

翻って、今の世の中は混沌としており、解のない問題ばかり山積しています。一流企業に入ったとしても、そこがずっと繁栄する保証のない時代です。

「問題解決能力」という言葉がたびたび経済紙の紙面をにぎわすように、これからの時代、何かを模範にするということではなく、自分自身の頭で考えて危機や困難を乗り切っていかなければなりません。一高二高を出た人間ならば特にその力が求められると思います。

以前7冠制覇を成し遂げた将棋界のスーパースター、羽生善治さんの勉強法は、プロ間でも形勢不明といわれる課題局面を盤に並べ、そこでの最善手は何かということをひたすら考え抜くという方法を取っていたそうです。私はその本を読んだとき、ああやっぱり…と思いました。

一つの課題をコンコンと考えることで、あの卓越した思考力が生まれたのだなと。。。

さて、今週火曜日の授業の話。

そんな感じで40分、50分と時間が経ち、断腸の思いで「そろそろ解説やるか!」と切り出しました。

「で、こことここからこれが分かる。それを使えばこれが出る。そうすればあとは三平方でいけるよね」と方針だけを示します。解答はあくまで自力でやらせたい。

その後、理解が難しそうな生徒何人かの名前を呼び、今の手順理解した?ホントに分かった?あとはやれるね?と確認を取ります。

そんな中、ふと横の方を見ると、一人、話を聞いていない人がいました。

前回の宮模試で数学100点、偏差値73を取った女子です(ちなみに宮城のトップである二高の合格ラインは68)。

その生徒でも…50分考えてまだ手が止まっています。そのぐらい宮城の入試問題は強烈です。

私は日頃から解説をやる前に「もう少し考えさせてと思う人はオレの話を聞かなくていい、こっちも見なくていい」と言っているので、私の話を聞いていなくても全然問題はありません。

でももう開始から1時間になろうとしているので、「どれ、〇〇、どうだ?どこまでいった?」と名前を呼んで経過を聞きました。

しかし、返事はありません。腕を組みながらじっと問題を見降ろしています。

私がその生徒に無視されていると受け取ったのか、周囲がクスクス笑いました。

「おい、〇〇……、〇〇さぁ~ん」と目の前まで行って比較的大きな声で呼びかけましたが、それでもその生徒はじっと固まったまま動きません。

…えっ?ホントに聞こえてないの?集中してるってこと?

どういう状態なのか読み取ろうとしてその生徒をじっと観察したとき、呼びかけても返事がなく突っ立っている私が滑稽に見えたのか、クラスからドッと笑いが起こりました。

と、そのとき、その大きな音で彼女はハッと顔を上げました。

眼をパチパチしているので、今まで何が起こっていたのか全く理解していない様子です。

(ここまでとは…)

周囲がまだ笑っている中、私は慄然としました。

ここまでとは思わなかった…。中3でこれほどの集中力を持っているとは…。

集中とは、水の中に潜るステップに似ていると羽生さんの本にありました。水の中に、深く、深ーく、潜ることに似ていると。

羽生さんによると、水の奥底には、さらに「その先」があるそうです。

そこは狂人の世界。

入口は見えるけど、今は入らないでおこうと思っている、きっとそこへ入ったら二度と戻ってくることはできないので…とありました。

入口が見える…?
二度と戻れない…?

天才すぎて鳥肌の立つ話ですが、まったく分からないでもありません。

その生徒は、きっと巨大な水圧のかかる深海まで潜っていたので、周囲の音がまったく耳に入ってこなかったのでしょう。いやはや驚きました。

授業の最後に、トップ校と高専を目指す生徒に言いました。

「さて…数学の宿題だけど、決して解答は見ないように。とことん考えるんだ。

 額に汗して…いや大脳に汗して、初めて考える力が鍛えられるんだからね。

 そこで出した答えは、たとえ解答と違っていても構わない。

 というか、解答と自分のが違ったとき、『解答の方が間違っている』くらいに思えないといけない。

 いいか、見ちゃだめだよ。

 解答を見るときは、切腹するとき…くらいの気持ちでね^^」

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ジャンル : 学校・教育

プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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