受験で合格するための秘訣

ある高3男子が授業後に、講師の千歳とセンター試験に向けたこれからの勉強法について相談していました。

私がたまたま近くを通りかかると、千歳が私に尋ねました。「工藤先生、数ⅡBどうやったら上がるのかという相談なんですが…」

ふーん、これは大事な話だ…。
ということで早速、今、模試や過去問の数ⅡBでどのぐらい得点を取るのか生徒に聞くと、50点前後で足踏みしているとのこと。

私は生徒の向かいに腰かけて言いました。「どこか特定のジャンル…例えば数列とかベクトルが全滅だとか、そういうのはない?」

「一通り基本的なところは解けますけど、問題が深くなってくる後半が解けません…」

「ふ~ん…なるほどね。じゃあ基本は出来てるわけだ。いつも言ってることだけど、基本が入っているんだったら……、あとはやっぱり過去問とか実戦問題集を解くしかないな。」

「やっぱりそうですか…」

「公式とか基本が抜けてるんだったら、教科書を一からやり直さないといけないけどね。でもそれはOKなんでしょ?」

「はい…」

「じゃあ、やっぱり実戦問題集で経験値を増やして、対応力を身につけるしかないなぁ。」

机にある問題集をパラパラめくりながら生徒の表情をチラ見すると、生徒は、それは分かってやっているんだけど……となかなか腑に落ちない様子。

そのとき、東北大歯学部で仙台一高元団長の菅野君が授業を終えて近くへ来たので声をかけました。「あ、ちょっと、菅野君!数ⅡBが上がらなくて困っているらしいんだけど。何かアドバイスして」

菅野君は、「それは興味深いなぁ」と言いながら、先ほど私がしたように今数ⅡBが何点なのか生徒に尋ねます。

得点を聞くと「そのぐらいだったらもう赤本(過去問)とか問題集を数多く解くだけでしょ。」と私と同じことを言います。

「やっぱ、そうすか~」と生徒。

「そうだよ、基本から分からないならともかく、この辺が解けないならもう勉強時間を作ってバリバリやるしかないよ!どのぐらいやってんの?日曜日とか」(お!ナイスな質問)

「え、日曜日すか?え~……時間は測ったことないんで…ちょっとアレっすね…」

「大体でいいからさ」

「ん……え~……7時間……ぐらいですかね…」

菅野「えっ?7時間?たったのそれだけ?」

私 「はぁ?7時間?時間測ったことないって言うからどのぐらいやってんのかと思ったら……たったのそれっぽっち?測ってないっていうのは『寝る時間以外全部勉強なんで…』って意味じゃないの?」

思いもかけず二人から同時に突っ込まれた生徒は、やや動揺しながら言いました。「ね…寝ている時間以外全部すか…」

菅野「そうだよ。だって例えば朝9時からやったとしてさ、7時間って言ったら夕方4時だよね。そこからもうやんないってこと?」

私 「7時間って言ったらそういうことだよね…。お前随分余裕あんなぁ…。普通受験生にとって、日曜日なんてカネを出しても買いたいぐらいだろうに」

生徒は「えっ……そうなんですか……」と緊張気味に答えます。

菅野「そうだよ!普通この時期の受験生は朝起きてから夜寝るまでずっとでしょ。少なくともオレはそうしてたよ。朝だいたい9時ぐらいから始めてさ、夜12時ぐらいまではやってたよ」

私 「そうそう。だいたいお前さ……勉強に特効薬なんてないんだよ。短時間で劇的に変わるなんてありえないの。

 まあもっともお前は、7時間は結構やってる方だと思っていたんだろうがね。俺らから言わせたら、そんなの準備運動レベルだよ。

 オレの高校の頃の話をしたっけ?」

そう言うと、奥で勉強していた高3男子が「あー、その話面白いよ!」と言いました。

「そうか、お前にはまだ話してなかったかもしれない。

あれは前期試験を終えて、後期試験までの2週間の話だけどね。前期試験を終えた直後、あまりの出来なさに落ちることを確信したオレは家に着くなり母親にこう言った。

『たぶんオレは落ちた。これから後期に向けて猛勉強する。学校にも行かない。ときどき部屋におにぎりと水を持ってきて』

そして、真っ白い紙の束を机に積み重ねて、時間も忘れて数学の問題を解きまくった。問題を解いて解答を確認したら、その紙は丸めて床へポイっと捨てる。いちいちゴミ箱の穴の中へ入れるのは面倒だからね。

そして、問題を解いてはポイ、解いてはポイと床へ放り投げる。

そのうちどうにも眠くなったら、少しだけ…という気持ちで紙の束を枕に寝る。そして2時間ほど経ったくらいかな
…これではいけない!と起き出して、また問題に取り掛かる。

よく睡眠はとった方がいいという人がいるけどね、こっちはそんな余裕はないんだよ。この2週間、今までと変わらぬ生活をしていたら、次の1年を棒に振ることは確実だ。

ときどきオレの友達が電話をくれた。

学校にも来ないでどうしたのと。そして、予備校をどこにする?っていう相談。できれば一緒のところにしたいんだけどってね。

オレはいま、後期に向けて勉強中だと言ったら、後期なんて受かるわけないだろと笑われたよ。

そんな感じで、周囲があきらめている中、頭が足りないオレは無我夢中で勉強した。何日か経って、母親から『やっぱり前期、落ちてたね』って言われた。その結果は予想通りだったから、『あっそう』ってな感じだったけどね。

とにかく今が何日の何時なのか、夜なのか朝なのか全然分からないまま、一心不乱に勉強した。

風呂に入る時間ももったいないから入らない。多分当時のオレは相当臭かったろうね。

トイレに行く時間ももったいなかった。赤ちゃんとお年寄り用のオムツは売ってるけど、受験生用オムツがあったらたぶん相当売れるだろうなと思ったこともあった。ふふ…バカだね。

そして、試験前日の夜、『明日なんだから、ちゃんと布団に寝なさい』と母親に言われた。

もうそんなに経ったのか……いよいよ明日か……と思って、ふと我に返って部屋を見ると……すごかったな、あれは。4畳半の部屋の辺り一面にビシーッとね…丸めて捨てた紙クズが一面に敷き詰まっていてね。歩くとザクザク、雪のように足首が埋まるんだ」

「ほ…ほんとすか」

「ホントだよ。自分でもビックリしたな。オレは2週間の間にこんなにやったのかって。世の中にこれだけやったやつがほかにいるんだろうかって思ったよ。

翌日、試験会場に行って辺りの顔を見たとき、なんとなく勝ったと思った。試験用紙が配られたときも、まだ問題を見てもいないのに妙に落ち着いていた。前期のときはドキドキだったけど、後期のときは波風一つない水面のように心が穏やかだった。

数日後、受かったとき、周りから『工藤は天才だから』と言われた。
『今ごろ知ったのかよ!』っておどけてみせたけど、本音は違うよ。
これほどの努力を人は天才というのかとしみじみ思ったね。」

講師や生徒、みんな私の話を興味深そうに聞いていました。

「ということで、数学が上がらなくて悩むヒマがあったら勉強しろってこと。寝る時間以外全部勉強だ。ね?菅野君」

「そうそう!千歳もそうだったでしょ?」

去年まで塾生で、今は講師をしている東北大の千歳君に話の矛先が向くと彼は恐る恐る言いました。

「あ…いやボクは…7時間もやったらスゴイ方でした…」

「はぁ~~……」私はため息をつきました。
「まあ千歳でも入れたということで…。昨今の学力低下問題はイカンともしがたいね」

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ジャンル : 学校・教育

プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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