覚える方法とひらめく方法
「なんか『大きい紙ない?』って聞かれて…。何かを書いて壁に貼るんだとか」
「社会はやっているようですよ。部屋とかトイレとかあちこちに歴史の年表みたいなのが貼ってあります」
お母さんとの面談で、生徒が勉強をやっているかどうか尋ねると「最近ようやく勉強を本格的にやり始めたみたいです」と言われ、何人かから先ほどのような話を聞くことができました。
(へ~、ちゃんと言った通りやってるんだ)ととりあえず一安心。
先日、一部の女子生徒らから歴史や地理を暗記するにはどうやったらいいのかと聞かれ、こう答えたのでした。
「よく重要ポイントをルーズリーフにまとめたり、暗記カードを作ったりする人がいるけど、あれはどうなんだろうな。
まとめるのはいいけど、はたしてそれを見続ける仕組みを作ってるのかな?
思うに、ほとんどの人はまとめておしまいだ。だから覚えられないんだろうな。まとめて見続けるまでがワンセットなのにね…
あなたたちはそれではいけないよ。覚えるまでが仕事だよ。書いたやつを時折見直さないと。
暗記カードはね、作るのはいいけどあれを見るまでに段階を踏まなくちゃならないんだよね。書いたやつをポケットから取り出す、そして片方の手で一枚一枚めくる…。ほら2ステップも必要だ。
俺なんかから見たら、2ステップもあるのはメンドくさいんだよ。だからカードはやんない。
大きめの紙にダダーッと年表を書いたり、地図を書いたり、模試でハズれた問題の周辺をまとめたりして、あとは壁に貼る。そして、それを朝晩毎日毎日見続けるんだ。
壁に貼っちゃえば0ステップだからね。疲れてベッドに横になっていながらも勉強になるから楽チンだ。
トイレやベッドの横、制服がかけてあるクローゼット横の壁…、そういったところに貼れば自然と目が行く。それを毎日見続けて一か月ほど立ったら…覚えていないということはないんじゃないかな」
このように語ったのですが、世の中、その通りやる人と、いつかやろうと思っていながらズルズルあとへ回す人がいるもの。
だから、先ほどのお母さん方からの話はちゃんと実践していることが分かり、私にとってはうれしいものでした。
別のお母さんからは数学についての質問がありました。
「数学だと、なんかずっと一つの問題を考えているんですよ。もっといろんなことをやったらいいのにと見ていて思うんですが…あれでいいんですか?」
はい、それでいいんです。
数学は学力レベルによって勉強法が異なります。
①計算からおぼつかない人⇒計算のみでいいのでやりましょう
②計算はできるけど文章題ができない人⇒すぐに答えを見ていいので、式の立て方や解き方のパターンを覚えてください。そして、後日もう一度やるときは見ないでやってみましょう
③偏差値60以上を目指す人⇒教科書や普通の問題集に載っている応用問題はもう解けますよね。で、入試問題にあたっていることと思いますが、それは解答を見ないでとことん考えてください。簡単に解答を見てしまったら、考える力がつかなくなります。1日でも2日でも大いに悩み抜いてください。そして解き方に一筋の光が差し込むのが見えたとき、初めて問題対応力が磨かれます。
先ほどのお母さんのお子さんは③あたりの人なので、その勉強法でいいのです。親から見るともどかしく思われるかもしれませんが大丈夫。脳はしっかりと鍛えられています。
将棋の島朗さんの本「心の鍛え方」(講談社)を読んで、このやり方で間違いないと確信しました。
それは名人経験者でもある超天才、佐藤康光九段の話です。
「近年は控室で、難しい終盤を詰み検索で結論を知る機能のソフトが使われることも多い。私が、康光さんが感情をあらわにしたのを感じたのはこれまでにただ一度、そんな場面で検討し、読みを深めている最中に、結論らしきものを先に告げられた時だった。
それは本当に好ましい、トップ棋士の誇りに私には感じられた。便利な機能は、着実に思考の放棄につながっていく。」
解答解説をすぐに見ているようでは、やはり思考力は鍛えられないんだなと思ったものでした。
まあでも世の中に勉強法はいろいろあるわけで、みんなには「自分に合ったやり方を見つけてがんばりなさい」と伝えました。
「社会はやっているようですよ。部屋とかトイレとかあちこちに歴史の年表みたいなのが貼ってあります」
お母さんとの面談で、生徒が勉強をやっているかどうか尋ねると「最近ようやく勉強を本格的にやり始めたみたいです」と言われ、何人かから先ほどのような話を聞くことができました。
(へ~、ちゃんと言った通りやってるんだ)ととりあえず一安心。
先日、一部の女子生徒らから歴史や地理を暗記するにはどうやったらいいのかと聞かれ、こう答えたのでした。
「よく重要ポイントをルーズリーフにまとめたり、暗記カードを作ったりする人がいるけど、あれはどうなんだろうな。
まとめるのはいいけど、はたしてそれを見続ける仕組みを作ってるのかな?
思うに、ほとんどの人はまとめておしまいだ。だから覚えられないんだろうな。まとめて見続けるまでがワンセットなのにね…
あなたたちはそれではいけないよ。覚えるまでが仕事だよ。書いたやつを時折見直さないと。
暗記カードはね、作るのはいいけどあれを見るまでに段階を踏まなくちゃならないんだよね。書いたやつをポケットから取り出す、そして片方の手で一枚一枚めくる…。ほら2ステップも必要だ。
俺なんかから見たら、2ステップもあるのはメンドくさいんだよ。だからカードはやんない。
大きめの紙にダダーッと年表を書いたり、地図を書いたり、模試でハズれた問題の周辺をまとめたりして、あとは壁に貼る。そして、それを朝晩毎日毎日見続けるんだ。
壁に貼っちゃえば0ステップだからね。疲れてベッドに横になっていながらも勉強になるから楽チンだ。
トイレやベッドの横、制服がかけてあるクローゼット横の壁…、そういったところに貼れば自然と目が行く。それを毎日見続けて一か月ほど立ったら…覚えていないということはないんじゃないかな」
このように語ったのですが、世の中、その通りやる人と、いつかやろうと思っていながらズルズルあとへ回す人がいるもの。
だから、先ほどのお母さん方からの話はちゃんと実践していることが分かり、私にとってはうれしいものでした。
別のお母さんからは数学についての質問がありました。
「数学だと、なんかずっと一つの問題を考えているんですよ。もっといろんなことをやったらいいのにと見ていて思うんですが…あれでいいんですか?」
はい、それでいいんです。
数学は学力レベルによって勉強法が異なります。
①計算からおぼつかない人⇒計算のみでいいのでやりましょう
②計算はできるけど文章題ができない人⇒すぐに答えを見ていいので、式の立て方や解き方のパターンを覚えてください。そして、後日もう一度やるときは見ないでやってみましょう
③偏差値60以上を目指す人⇒教科書や普通の問題集に載っている応用問題はもう解けますよね。で、入試問題にあたっていることと思いますが、それは解答を見ないでとことん考えてください。簡単に解答を見てしまったら、考える力がつかなくなります。1日でも2日でも大いに悩み抜いてください。そして解き方に一筋の光が差し込むのが見えたとき、初めて問題対応力が磨かれます。
先ほどのお母さんのお子さんは③あたりの人なので、その勉強法でいいのです。親から見るともどかしく思われるかもしれませんが大丈夫。脳はしっかりと鍛えられています。
将棋の島朗さんの本「心の鍛え方」(講談社)を読んで、このやり方で間違いないと確信しました。
それは名人経験者でもある超天才、佐藤康光九段の話です。
「近年は控室で、難しい終盤を詰み検索で結論を知る機能のソフトが使われることも多い。私が、康光さんが感情をあらわにしたのを感じたのはこれまでにただ一度、そんな場面で検討し、読みを深めている最中に、結論らしきものを先に告げられた時だった。
それは本当に好ましい、トップ棋士の誇りに私には感じられた。便利な機能は、着実に思考の放棄につながっていく。」
解答解説をすぐに見ているようでは、やはり思考力は鍛えられないんだなと思ったものでした。
まあでも世の中に勉強法はいろいろあるわけで、みんなには「自分に合ったやり方を見つけてがんばりなさい」と伝えました。