タメになるホラー話④「やらないと受からない」

「いや~、今日は暑いな~。ところで君たち、この貴重な夏休み、塾のない日は勉強どのぐらいやってんの?」

「あ・・・え~っと・・・1時間ぐらいですかね・・・」

「い、いちじかん!!!・・・カ、カハッ・・・く、くるしい・・・だれか・・・酸素ボンベを~・・・」

「ど、ど、ど、どうしたんですか???・・・ハ、ハイ、酸素ボンベ!(持っててよかった・・・)」

「・・・スゥ~・・・ハァ、ハァ・・・、ハァ~・・・今一瞬呼吸が止まったぞ。お前、もう少しで殺人を犯すところだったな。俺のように鍛えぬいて体力のある人間じゃなかったら、今の言葉でイチコロだったぞ。中3なのに何でやんねぇんだよっ?」

「え?だから、やってますよ、1時間」

「うっ、うぐっ・・・ヤバイ・・・こ、今度はヤバイ・・・だ、だれか・・・人工呼吸を~・・・なるべく美人で・・・」

「・・・そのまま死んでください・・・
でも俺忙しいんですよ~、いろいろと・・・」

「忙しい?・・・ふ~ん、ま、人それぞれ事情があるからね。ただね、1時間はないでしょ、1時間は・・・。この時期、受験生は普通最低3時間はやってるって。・・・はあ、今年もあの話をしなきゃならないか・・・」

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タメになるホラー話
第4話「枕 元子(まくら もとこ)」


「枕さん、最近成績が平行線だね。家で勉強やってないでしょ。君はS高校に入りたいんだろ?何度もいってるように、授業でやったところ、間違えたところのやり直しだけは家できちんとやんないと」

「え、・・・アハハ・・・」

「笑ってごまかすな!ここは大事なところだ。家でどのぐらいやってんの?」

「あ、え~っと、やって・・・ません(笑)」

「やらなければ落ちるよね。それは分かってる?」

「ハイ・・・。でも、眠くって・・・」

「はぁ・・・。君はさ、おそらく受験をマラソン大会とか卒業式のように考えているんだ」

「え?どういうことですか?」

「毎年何人かいるんだ。現実が見えていない哀れな人間が・・・。マラソン大会はさ、走るのはつらいけど何とかゴールはできるよね。よほどでない限り『みんな』ゴールする。

卒業式もそう。3年間いろいろあったけど、結局『みんな』卒業する。成績がいい人、悪かった人、いろいろいるが結果はみんな同じだ。みんなアガれるんだ」

「はあ・・・」

「でも受験は違う。何が違うってね、『定員』だよ、定員
マラソンで言うとさ、『みんな』のゴールは許されないの。当たり前だけど、ある順位以下ははじかれちゃう。ここまできたんだからゴールさせてくださいって言ってもダメ。絶対にゴールはさせない」

「ざ、残酷ですね・・・」

「そうだね、ある意味残酷だ。でもしょうがないよ。受験は競争なんだから。競争というのはね、ときに残酷な結果を生むものなんだよ。他人と競争せずに育ってきたお前らにはまだこの本質が分からないんだろう、可哀想に・・・。

いいか、よく聞け。定員に入りたかったらやるんだ!
他人が遊んでいたら『いいなあ』ではなく『ありがとう』!わかったなっ!」

(その夜)**************

「よし、勉強しよう!・・・でも、まずはこの漫画を読んでから・・・。

ああ~面白かった!じゃ、勉強始めるか・・・。あ、でもこれからテレビであの番組が・・・。

ああ~楽しかった。このあとはちょっとパソコンで・・・。

あ~あ、何か眠くなってきた・・・」

(数日後)
「先生~、先生~!ウチの子が~っ、ウチの元子が~~~~!」

******************

「そ、それで?どうなったんですか?」

「俺が駆けつけたときにはもう・・・。あの子は笑っていたよ。棺の中で・・・幸せそうに眠ってな・・・」

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ジャンル : 学校・教育

プロフィール

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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