倍率狂想曲
2015/02/25
昨日の夕方、チラシ作りのためパソコンをカタカタしていると、中3女子二人が神妙な面持ちでやってきました。
「先生、パソコンで倍率見てください…」
ああそうか、たしか今日が倍率発表の日だったな…
どれちょっと待ってと検索すると、その間深いため息をつきながら「あぁ~きっと高いんだろうなぁ…」「見たいけど見たくない…」と二人。
その様子を横眼で見つつ公式発表をプリントアウトして壁に貼ると、自習に来ていた生徒らが一気にそこに群がりました。
(※宮城県の後期選抜高校入試倍率はこちら)
「うわ~!1.7倍もある!ヤバくないですかこれ?」
一人の女子が指をさした先を見てみると…確かに1.7倍だ。これは高い。
「ほう、これはすごいねー!予備調査より上だ!ハハハ!」
「何で笑ってるんですか!」
「いやー面白くなってきたねー!勝負はこうでなくっちゃあな!」
「もう、何言ってんの!」
この子は力のある女子だから、このぐらい言って構わない。
多少緊張感を植え付けた方がこの子のためだ、
とほかの生徒らを見ると、一人明らかに顔が青ざめている女子が…
私は近寄って声をかけました。
「おいおい、大丈夫か?」
「ヤバい…あぁ……何でこんなに受けに来るの」
「フフフ、まあそれはしょうがないよ。
でも大丈夫。お前は受かるよ。自信もって」
精一杯励ますも、その子は肩を丸めてしょんぼり。
「あぁ……先生、これって何人落ちるってことですか」
(う、でた…どうでもいい質問…
答え方次第では泣かれる…)
「そ、そうだねぇ…こっち引くこっちだから…150人…くらいかな」
「あぁ…私、絶対そっち側だ…落ちた…」
「だ、大丈夫だよ!ほら、もう十分だろ!数学やろう!」
その子に席に戻るよう言ってふと隣を見ると、今度は毎日自習に来ている女子がさばさばした表情で言いました。
「あ~あ…ハハハ、私もう終わったわ」
「ちょ…ちょっとー。そんなこと言うなよ」
「だって見てくださいよ、コレ!」
「え?どれ…?」
急いでこの子の受験校倍率を見ると…そこには2.29倍の数字が。うっ…
「ね?終わったでしょ?」
「ま…まあ、これは確かに高いけどさ…
でも、だから何だっての!
カンケーないカンケーない!
さ、やるぞ!」
******************
ふ~…
私は自分の席について一息つきました。
男子はいい。
やつらは倍率を見ても「ふぅん」「へぇ~」と言うだけで、今更じたばたしてもしょうがないと肚をくくっている。
問題は…
女子なんだよなぁ…
もう何日もないのに倍率に右往左往して、勉強に身が入らないようでは本末転倒だ…
はぁ~……まいったなぁ…
ぼんやり外の方を眺めていると、ちょうど玄関が開いて「こんにちは」と声がしました。
中に入ってきたのは、ここのところずっと毎日夜11時まで自習に励む、個別指導の女子です。
その子はまっすぐ我々の方にやってきて、ボソッと言いました。
「遠藤先生、後でお話があるんですけどいいですか」
背中で聞いたその声に何とも重苦しいものを感じた私は振り向いて言いました。
「家で……倍率見てきたのか?」
何の気なしに聞いたつもりが、やはり「お話」の核心だったようで、私と目が合って数秒後、その子はみるみる顔が赤くなり、目には涙が溢れてきました。うわ~…
その子は目元をジャージでぬぐいながら声を震わせて言いました。
「あぁ…、私…もうどうしたら…」
「ちょっ…大丈夫!も~なんで泣くんだよ」
「ヘヘへへ…(涙)」
笑って吹っ切れようとするも、涙は次から次へと溢れてきます。あら~…
「先生…(グスン)…1.79倍って……受かる確率どのぐらいですか?」
「(う…またどうでもいい質問…)
え~っと…それは簡単な算数だな。
逆数を取ればいいから…、電卓でピッピッと……え~と、受かる確率は55%だね」
言ってすぐに(しまったっ!)と後悔するも、もう後の祭り。
結果を聞いた女子はその場で一気に泣き崩れました。
うう、バカかオレは!
数学に関することだとすぐに計算したがるのはどうしてだ!
もうちょっとうまい言い方があったろうに…
私はう~う~と声をあげて泣く女子に慌てて言い直しました。
「だ、大丈夫、大丈夫!
こんな数字、カンケーないよ!
お前は毎日がんばってるもんな!
あの努力を考えたらもっと数字は上だって!」
懸命に弁明するも女子の涙は止まらず。ああ…
私は近くにいた女性講師にささやきました。
「うう…ちょっと…、あいつを抱きしめてやって」
******************
夜10時半↓

夕方の倍率騒ぎは収まり、授業後に残って勉強する人多数↓
倍率を見てむしろ俄然力を入れて勉強しているように感じる。よし!

高校生もテスト直前↓
もう11時になるのにいろいろ質問している人が。みんながんばるね!


「先生、パソコンで倍率見てください…」
ああそうか、たしか今日が倍率発表の日だったな…
どれちょっと待ってと検索すると、その間深いため息をつきながら「あぁ~きっと高いんだろうなぁ…」「見たいけど見たくない…」と二人。
その様子を横眼で見つつ公式発表をプリントアウトして壁に貼ると、自習に来ていた生徒らが一気にそこに群がりました。
(※宮城県の後期選抜高校入試倍率はこちら)
「うわ~!1.7倍もある!ヤバくないですかこれ?」
一人の女子が指をさした先を見てみると…確かに1.7倍だ。これは高い。
「ほう、これはすごいねー!予備調査より上だ!ハハハ!」
「何で笑ってるんですか!」
「いやー面白くなってきたねー!勝負はこうでなくっちゃあな!」
「もう、何言ってんの!」
この子は力のある女子だから、このぐらい言って構わない。
多少緊張感を植え付けた方がこの子のためだ、
とほかの生徒らを見ると、一人明らかに顔が青ざめている女子が…
私は近寄って声をかけました。
「おいおい、大丈夫か?」
「ヤバい…あぁ……何でこんなに受けに来るの」
「フフフ、まあそれはしょうがないよ。
でも大丈夫。お前は受かるよ。自信もって」
精一杯励ますも、その子は肩を丸めてしょんぼり。
「あぁ……先生、これって何人落ちるってことですか」
(う、でた…どうでもいい質問…
答え方次第では泣かれる…)
「そ、そうだねぇ…こっち引くこっちだから…150人…くらいかな」
「あぁ…私、絶対そっち側だ…落ちた…」
「だ、大丈夫だよ!ほら、もう十分だろ!数学やろう!」
その子に席に戻るよう言ってふと隣を見ると、今度は毎日自習に来ている女子がさばさばした表情で言いました。
「あ~あ…ハハハ、私もう終わったわ」
「ちょ…ちょっとー。そんなこと言うなよ」
「だって見てくださいよ、コレ!」
「え?どれ…?」
急いでこの子の受験校倍率を見ると…そこには2.29倍の数字が。うっ…
「ね?終わったでしょ?」
「ま…まあ、これは確かに高いけどさ…
でも、だから何だっての!
カンケーないカンケーない!
さ、やるぞ!」
******************
ふ~…
私は自分の席について一息つきました。
男子はいい。
やつらは倍率を見ても「ふぅん」「へぇ~」と言うだけで、今更じたばたしてもしょうがないと肚をくくっている。
問題は…
女子なんだよなぁ…
もう何日もないのに倍率に右往左往して、勉強に身が入らないようでは本末転倒だ…
はぁ~……まいったなぁ…
ぼんやり外の方を眺めていると、ちょうど玄関が開いて「こんにちは」と声がしました。
中に入ってきたのは、ここのところずっと毎日夜11時まで自習に励む、個別指導の女子です。
その子はまっすぐ我々の方にやってきて、ボソッと言いました。
「遠藤先生、後でお話があるんですけどいいですか」
背中で聞いたその声に何とも重苦しいものを感じた私は振り向いて言いました。
「家で……倍率見てきたのか?」
何の気なしに聞いたつもりが、やはり「お話」の核心だったようで、私と目が合って数秒後、その子はみるみる顔が赤くなり、目には涙が溢れてきました。うわ~…
その子は目元をジャージでぬぐいながら声を震わせて言いました。
「あぁ…、私…もうどうしたら…」
「ちょっ…大丈夫!も~なんで泣くんだよ」
「ヘヘへへ…(涙)」
笑って吹っ切れようとするも、涙は次から次へと溢れてきます。あら~…
「先生…(グスン)…1.79倍って……受かる確率どのぐらいですか?」
「(う…またどうでもいい質問…)
え~っと…それは簡単な算数だな。
逆数を取ればいいから…、電卓でピッピッと……え~と、受かる確率は55%だね」
言ってすぐに(しまったっ!)と後悔するも、もう後の祭り。
結果を聞いた女子はその場で一気に泣き崩れました。
うう、バカかオレは!
数学に関することだとすぐに計算したがるのはどうしてだ!
もうちょっとうまい言い方があったろうに…
私はう~う~と声をあげて泣く女子に慌てて言い直しました。
「だ、大丈夫、大丈夫!
こんな数字、カンケーないよ!
お前は毎日がんばってるもんな!
あの努力を考えたらもっと数字は上だって!」
懸命に弁明するも女子の涙は止まらず。ああ…
私は近くにいた女性講師にささやきました。
「うう…ちょっと…、あいつを抱きしめてやって」
******************
夜10時半↓

夕方の倍率騒ぎは収まり、授業後に残って勉強する人多数↓
倍率を見てむしろ俄然力を入れて勉強しているように感じる。よし!

高校生もテスト直前↓
もう11時になるのにいろいろ質問している人が。みんながんばるね!


- 2015/02/25 09:19 |
- 中学