我が子の悩み② in同窓会

<前回の続き>①はこちら⇒part.1

「う~ん…」
S君は渋い表情で遠くを見つめながら言いました。「『勉強のやり方』がねぇ…」

「はぁ?」

「いまの塾はたぶん、宿題出してそれの答えを解説してるんだよ。

それ自体はね、宿題を出してくれるところはありがたいんだけどね…

そのほかに家で何をやったらいいかってこと。

もっと上位に行くには自分で何をやったらいいかってところを子どもに話してほしいんだ…」

「はあ…」
私は言葉が出てきませんでした。

(…勉強のやり方?

確かにその話はいろんな保護者から聞く…

『できない子は勉強のやり方が分からないだけなんです』って「YDK」とか「ハイジ」のCMでも散々あおっているけど、それを…天才のお前が言うのか…)

私は思ったことを率直に言いました。

「そんなの、自分が教えたらいいじゃん。

オレが登場するまで(笑)ずっと学年一位を取ってきた男だろ!

『何をやったらいいか』ってさ…

自分が中学のときにやってきたことをそのまま子どもに伝えたらいいんだよ」

「うん、それはそうなんだけどね…」

彼は自嘲気味に笑ったあと、これまた良くある話を口にしました。

「身内じゃ難しいんだよ…。特に父親と中2の女の子ではね…なかなかね…」

「はぁ…そういうもんかねぇ…」

「そうそう。だからさ…そういうことを教えてやってよ。

工藤がムリなら、そういうことを言える家庭教師をさ…誰か紹介してよ」

(ふ~ん、なるほど…

自分はどっちかっていうと、普通の授業よりもそういう風に上を目指すための勉強法を語ることの方が好きだし、実際授業でもそうしている。

今の話を聞くと、、、塾の方向性としては間違ってないのかな…)

医者のS君の話は、私にとっても仕事内容を振り返るきっかけとなり大いに参考になりました。
ただ、彼の相談にはまだ答えていない。

「塾の宿題以外に家で何をやったらいいかってことだよな…。

いろいろあるけど、もしオレがSの子どもの家庭教師だったら…」

自分が中1のころ、果てしなく遠い存在だったS君に向かってアドバイスをかますというのは少し勇気がいりましたが…、やや間をおいてから持論を述べました。(つづく)

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我が子の悩み① in同窓会

「いったい何が不満なんだ?」

片方は医者、片方は電力様に勤める2人の友人と会話をしていた私は思わずこう口にしました。

先週のお盆中に仙台一高の同窓会があり、二人は我が子の勉強のことでため息交じりに私に語り始めたのでした。。。

***********************
お医者さんのS君は私と中学から同じ。

親は地元の大地主で、中学当時の私が住んでいた社宅はS家の所有物だったそうな。

それを妬んでか、私の母親は私に運動会や期末テストなどことあるごとに、「ほかの誰に負けてもいいけど、S君だけには負けないで」と私の尻をひっぱたき、

私が「運動なら勝てるけど、勉強はちょっと…。だってあいつは確か学年1位だよ」と言うと、母親はウチがどれだけビンボーで、あちらがどれだけ裕福かという話を涙ながらにし始めるので、

困り果てた私は最後には「わかったわかった、勉強もがんばるから…」と母親をなだめ、30位がどうやったら1位に勝てるのかを真剣に考えるようになったという、いろいろと因縁の?あるお友達です。
※勝負の行方は…⇒宿題あれこれ

そのS君、今は某有名中学に通う中2の娘さんがいて、同窓会で私と会うなり、「ウチの娘に何とか一高に行ってもらいたいと思ってるんだけどさ…」と私に相談してきました。

「あの中学に行ってんのか~!
まったく…お前らしいな~
それで?今のところどのぐらいなの?」

「それがもう一つでね…」

「お前の遺伝子を受け継いでるんだから大丈夫だろ」

「いやいやそうでもない…。
ウチの中学、みんな優秀だからさ…なかなかね」

「まあでも、受験は中学で何位かじゃなくて、県内でどのぐらいにいるかだからね」

「でも今は『内申点』だっけ?アレが結構大事なんだろ?」

「ああ、アレね…」

「ウチの中学だとほかが優秀だからね…なかなか良い数字をもらえないんだよ」

「そんなところに行ってっからそうなるんだよ、まったく…。普通の中学校でいいのに」

「ははは、まあな」

「でも安心しろ。
一高の前期試験は他の高校みたく内申点の縛りがないから。

それに後期で定員の80%を取るんだ。
だからお前の娘さんの内申点が心配でも後期勝負で全然問題ない。
後期はテスト7、内申点3の割合で評価されるから、ほぼテスト次第だね」

「ほう…。まあ、テストもいいわけではないけどね(笑)

なぁ……どこか、いい家庭教師知らない?紹介してよ」

「家庭教師ねぇ…。一口に家庭教師っつっても、ピンキリだからなぁ」

「どこか知らない?なんなら工藤でもいいんだけど」

「は?いま、俺『でも』っつったの?この天才も安く見られたもんだね。
俺が家庭教師って言ったらそうだな…一回100万円ってところかなぁ(笑)
どっか塾とか行ってないの?」

「行ってるよ」

「そこだとダメなの?」

「ダメってワケじゃないけど…」

「じゃあ、いったい何が不満なんだ?」

彼が我が子を通わせるぐらいの塾なんだから、その塾への不満は即自分のところの不満にもつながる。心して聞かないと…と、やや身を固くすると彼は言いました。(つづく)

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宿題あれこれ

今年中2になる生徒たちは私に習うのが初めて。

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そこで先週の授業冒頭、新しいテキストを渡しながら勉強に対する私の考えを特進クラスの生徒たちに伝えました。

「さて…このテキストの中なんだけど…解答が挟まっているよな…」

小学生や中1のころには解答は渡していなかったので、前から在籍していた生徒は言われて初めて気がついたようでした。

「これからは宿題をやったあと自分でマルつけまでやってもらいます。

このマルつけを自分でするというのが勉強の上でとても大事でね。

毎年中2中3の特進クラスには解答を渡すことにしているんだけど、こうするとあるお母さんにはこのように言われる。

『先生、ウチの子、絶対丸写ししてしまうから答えを取り上げてください』ってね。

そういうとき俺はいつもこう言うんだ。『大丈夫ですよ。〇〇君は答えの丸写しなんてしませんよー』って。

お母さんの反応はまあいろいろかな。笑ったり訝ったりまあいろいろ(笑)

怪しむ人には再度言うよ。『〇〇君は大丈夫です。信じてやってください』ってね」

生徒全体を見回すと、クスクス笑う人、緊張している人、いろんな人がいます。

「解答を見て宿題を仕上げることになんの意味もないってことは…あなたたちは分かるよね?」

また全体を見るとこくっとうなずく人が少々。

「学校の宿題はさ…解答を見てもいいからとにかく出せなんてよく言われるけどさ…

いいからね、俺にはそんなことしなくて。

だいたいさ、俺は宿題は嫌いだから。あんなものない方がいいに決まってる。

おいケイシン、お前は宿題があった方がいいか?」

手前に座っている男子に聞くと、やや間があってから「まあ…あった方がいいです…」と答えます。

「へぇ~。おいモリ、お前は?」隣の男子に聞くと彼も迷った末に「あった方がいいかも…」と答えました。

「へぇ~、最近の人たちはマジメなんだねぇ。あった方がいいなんてねぇ。どう考えてもない方が楽しいんだけどなぁ。だって宿題あったらゲームできないじゃん。

俺なんて夜早く寝て、親が寝静まった3時ころにこっそり起きてドラクエやるのが楽しみだったけどなぁ」

笑いながら過去の話を語ると、初めての先生を前に顔がこわばっていた生徒も徐々に緊張が解けてきたように見えました。

「ははは、ウソウソ。まあゲームはやったけどそれが理由じゃない。

もし今後『ゲームやっていて宿題やれませんでした』なんて人がいたら怒るからね(笑)

宿題が嫌いな本当の理由はね…、

宿題なんてよこされたら『自分の研究ができないじゃん』ってことだよ」

生徒の方を見やるとみんな意味がつかめていないようでした。

「たとえばさ…俺はみんなと同じ中2の一学期、6クラスある学校で順位は30番くらいだった。

数学とかの頭を使う問題は大好きだったけど、ほかはテキトー。でも順位に不満があったワケではなかったから別に何とかしようとは思わなかった。

でも一学期のテストが終わったとき、トップの人に勝ちたいという欲が出てきたんだな。次は絶対に万年一位のアイツを超えると誓った。

そして中2の夏休みに猛勉強しようとしたんだけど…宿題が多くて困ったんだよな~。

英単語の練習とか漢字とかさ…そんなの書けるって。

読書感想文?弁論?そんなもの、順位に関係ないじゃん。

何この数学…これはもうできるよ!とかね…結構ワガママだった。

でもこれを終わらせなかったら自分の研究ができないからね…早めに終わらせることにした。

宿題をしながら『なんでこんなものをしなきゃならないんだ』ってずっとブツブツ言ってたな。

でもどうにかこうにか宿題を終わらせたあと、やっと自分の時間がやってきた。

俺は歴史が一番苦手だったからまずは歴史を猛勉強した。

具体的には、まず文房具屋に行って大きな模造紙、あの学級新聞とかのやつね、それを買ってきた。

そして、何時代に誰が何をしたかサッパリ分かっていなかったので、それをマジックと模造紙で表にまとめていった。縄文時代から江戸時代までの年表も作った。

そして出来たやつを4畳半の壁と天井一面に貼って、常に目に飛び込んでくるようにした。

これが効果バツグンでね。部活から帰ってきて床にゴロ寝しても天井にデカデカと書いてあるから嫌でも覚えられた。

そして夏休み明けの2学期のテストで…いきなり1位になった。誰にも信じてもらえなかったけどね。

高校時代でいうと…俺が一高に入って感謝したのは宿題がなかったことだ。

俺は数学で分かんない問題があるとずっとそればかり考えている性格だった。

その日はもちろん、次の日も次の日も…。ただの一問に一週間考え続けるなんてことはしょっちゅうあった。

隣に解答があるのにね。それを見ては負けだと思い来る日も来る日も考えた。

今思うと、あのとき解答を見ないで自分の力であれだけ考えた経験があったから、今もいろんな場で考える力が発揮されるんだと思う。

でも今は一高も宿題を大量に出す学校になっちゃってね。

もし自分が高校のころに、今の量の宿題を出されたらと思うと…ゾッとするよ。

きっと宿題提出のためにあっさり解答を見ちゃってたんじゃないかな。

で、知識はあっても、考える力はない…というおバカさんになった可能性がある。恐い恐い…」

しゃべっているうちに、中2になったばかりの生徒にはちょっと難しい話かな…とも思ったのですが、意外にみんな真剣に聞いているように見えました。

「ということでね…宿題は出すけど、やってこないからと言って怒ることはないよ。

社会の年表作ってたとか去年の英文法の復習をしていたとか言ってそれを見せてくれたら、俺は感動に震えるだろうね。

ただし、ただのサボリならば…親に電話して三者面談となります。そこのところよろしくね!」

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新年会でのできごと

新年あけましておめでとうございます!

2014年も、みなさまにとって良い年でありますようにと祈念申し上げます。

このブログではあくまでも塾に関することを取り上げ、私事を書くことのないようにと注意を払っておりますが、新年を迎え、たまにはそういうこともいいかなという思いで今回はつづってみます。

去る1/2に、仙台一高の同期新年会&厄払いが青葉城址の護国神社で行われ参加してきました。

一般参拝客もいる中、今年42歳になる同級生42人がスーツ姿で境内に集まって神社仏閣の中に入っていく様は、一種独特の雰囲気があったのか、足を止めてその様子を観察する方が少なくありませんでした。

建物の中で祈祷を済ませて外へ出ると、ハッピを着た男の人が二、三人、ささ、こちらへと、境内の中央へ私たちを案内します。

そちらを見やると、そこには巫女さんらしき人が2人立っていました。両方とも肩からたすきをかけていて、それにはミス福娘、準ミス福娘と書いてあります。

「準ミス」なんてものをつけられて…その子がかわいそうじゃん…。両方ともミスでいいのに…っていうか、準ミスの方がどう見ても美しいんだけど…

なんてことを考えながら中央に集まって輪になると、そのあとおみくじなどを販売していたほかの巫女さんたちも出てきて、総勢6人が私たちの前に並びました。

なんだなんだ?これから何が始まるんだ?と不思議に思っていると、ハッピを着たまとめ役らしい男性が「さあ、みなさんお手を拝借~、せ~の!」と言って、全員で三三七拍子をすることに。

それが終わるとその男性は笑顔で言いました。「ささ、厄払いで普通はここまでサービスはしないんだけどね、ご利益があるから巫女さんたちと握手して

それを聞いて、おいおい、サービスってさ、飲み屋じゃないんだからさ…と笑いつつ様子をうかがっていると、同級生が次から次とニコニコ顔で握手をしていきます。

まったくコイツらときたら…恥も外聞もあったもんじゃない…と半ば呆れていると、握手が終わった連中が「おお、これで今年はバッチリだ!」とか「手がスベスベしていてウチのカミさんとは大違いだ」とか騒ぎます。

ホントにバカなことを(笑)と笑っていると、そのうち一人から「ほら、工藤もあやかれ!」と背中をドンと押されました。思わず前へ出ると、正面には「準ミス」の文字が。おお、この人は…

年がいもなくちょっとドキッとしながら「あ、すいません」と右手を指し出すと、その子は私の右手を両の手でしっかり握り返してきました。

新年早々という時節、晴れ晴れとした青空のもとという環境、神事を執り行ったばかりという荘厳な雰囲気が多分に作用したのだと思う。

今考えてもあのときは頭がどうかしていたとしか思えないのですが、その子の手はレノアで洗ったばかりのタオルようにふわっふわとしており、手を握られたとき、私の意識は一瞬にして別世界にふっ飛ばされてしまいました。

いや~巫女さん恐るべし…。アイドルの握手会はなんとも思わないけど、巫女さんの握手会が開かれるなら…並んでみよっかなというのが今の正直な気持ちです…バカですね(笑)

その後、餅つきを終え、新年会のために本館2階の会場へ。

司会は佐々木君。彼とは高2のとき席が隣でよくしゃべりました。県議会議員2期目ということもあり、演説がうまいうまい。

その後、事務局のS君が今年の夏開かれる一高大納涼会の進行状況を発表します。

彼は東北大法学部を出たあと29歳までパチスロ三昧の日々を送り、このままではいけないと思ったのか30歳で一念発起して弁護士の資格を取ったツワモノです。高校時代は私とよく麻雀をしました。少し前に自分の弁護士事務所を開設し、月収はン百万円だという噂…あわあわ

私の隣はI君。2年間一緒のクラスでよく遊んだ仲です。今は歯医者をやっています。
「おい、Sのやつ、いま月収〇百万あるらしいぞ」と私がヒジでI君の脇腹をつつくと「え?そんなに?」と彼も驚いた様子。

「まったくなぁ…。でも、お前…驚いてっけど、お前ももらってるんだろ?」と探りを入れると「え?いや、俺なんて全然」と返事を濁します。

「全然ってこたぁないだろ!どうせ、100万くらいはいってんだろ?」

「いってんだろ」と聞いておきながら、心の中では「いっててほしくない」という思いで彼に尋ねると「まあ、それはあるけど…」との返答。

私はIの肩に手をやり優しく諭しました。「ねえ君…一つ言っとくけど、それを最低ラインのように言うんじゃないよ」

私の向いには県庁職員と高校教師が並びます。高校教師のS君とは中学から一緒で、麻雀や魚釣りなどをよくやりました。今でも年に2,3回お酒を飲む親友の中の親友ですが、内申点の話を聞こうとすると急に口が重くなる点がいただけない。

仙台市職員のT君も来ていました。彼とは年末にも飲み、このブログがとても面白いと言ってくれました。例えばどこがと聞くと、私の学生時代の話とのこと。

「S君って狭川のことだよな?」
「うん」
「あいつ、朝4時までやってたんだ…」
「そう!毎日だからね…そんなことが可能なのかと驚いたよ」
「いや、工藤の話も驚いた。やっぱり上の奴らってただ頭いいと思ってたんだけど…違うんだな。ちゃんとやってんだな」(※カテゴリ「学生時代の話」を参照)

銀行員のI君も来ていました。「お前のところ、いつも前通るけどすごい自転車並んでいるじゃないか。今度金貸すから来い」と。お金を借りる理由がないのに貸そうとするとは…。銀行員というのは、まったく商魂たくましいものだな…

ミニストップのカザフスタン店から帰国したK君は、高校時代八木山の高級住宅にお住まいで、遊びに行くと上品なお菓子がよく出てきたっけ。麻雀はもちろんですが、文系の彼とは哲学の話を良くしました。生きるとはどういうことかとか、人間とは何を為すために生まれてきたのかなど。

東北電力のT君はエンターテイナーで私の大親友。周囲の人を笑わせるのが得意で、この人といると時間が経つのを忘れます。その日は常に最先端を走る彼に、ラインのノウハウを教えてもらいました。

その後、医者やら会計士やら弁護士、行政書士などそうそうたる方々と話を交わし、ハッと気づくのでした。やっぱ、一高ってスゲーんだな…と。

組織に属していないからか、一高といっても偏差値上たまたま上の方に名前があるだけで、別にこれと言ってどうということはないでしょと思っていたのですが、こういう会に出ると、数字上のことではなく、その意味を、重さを、嫌がおうにも理解させられます。周りの人たちのパワーに圧倒されます。自分もまだまだだなと刺激をもらえます。

「行けるなら上の方に行っておけ」と生徒によく言いますが、一番の理由はこれですね。「周りからパワーをもらえるから」ということ。これが一番大きいと思います。

会では私も仕事を聞かれました。いま塾をやっているんだと答えると、一人が「そういえば、工藤から数学と化学教えてもらったけど一番分かりやすかった」と言います。すると、それを聞いたほかの人たちも「ああ俺も教えてもらった」「スゲー分かりやすいんだよ」と話に加わりました。

全く身に覚えのない私は「そんなことあったっけ?俺が教えたの?お前らに?」と聞くと、一人が一つ一つ詳細を語り出し、周りがそうそう!と相槌を打ちます。

やがて一人がしみじみと言いました。「多分、その仕事、工藤に合ってると思うよ」

ふ~ん、そうか…この仲間が言うんだから、そういうのはあるのかな…

さて、昨日から冬期講習後半戦スタート!

今年もバリバリ指導していきます!

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受験で合格するための秘訣

ある高3男子が授業後に、講師の千歳とセンター試験に向けたこれからの勉強法について相談していました。

私がたまたま近くを通りかかると、千歳が私に尋ねました。「工藤先生、数ⅡBどうやったら上がるのかという相談なんですが…」

ふーん、これは大事な話だ…。
ということで早速、今、模試や過去問の数ⅡBでどのぐらい得点を取るのか生徒に聞くと、50点前後で足踏みしているとのこと。

私は生徒の向かいに腰かけて言いました。「どこか特定のジャンル…例えば数列とかベクトルが全滅だとか、そういうのはない?」

「一通り基本的なところは解けますけど、問題が深くなってくる後半が解けません…」

「ふ~ん…なるほどね。じゃあ基本は出来てるわけだ。いつも言ってることだけど、基本が入っているんだったら……、あとはやっぱり過去問とか実戦問題集を解くしかないな。」

「やっぱりそうですか…」

「公式とか基本が抜けてるんだったら、教科書を一からやり直さないといけないけどね。でもそれはOKなんでしょ?」

「はい…」

「じゃあ、やっぱり実戦問題集で経験値を増やして、対応力を身につけるしかないなぁ。」

机にある問題集をパラパラめくりながら生徒の表情をチラ見すると、生徒は、それは分かってやっているんだけど……となかなか腑に落ちない様子。

そのとき、東北大歯学部で仙台一高元団長の菅野君が授業を終えて近くへ来たので声をかけました。「あ、ちょっと、菅野君!数ⅡBが上がらなくて困っているらしいんだけど。何かアドバイスして」

菅野君は、「それは興味深いなぁ」と言いながら、先ほど私がしたように今数ⅡBが何点なのか生徒に尋ねます。

得点を聞くと「そのぐらいだったらもう赤本(過去問)とか問題集を数多く解くだけでしょ。」と私と同じことを言います。

「やっぱ、そうすか~」と生徒。

「そうだよ、基本から分からないならともかく、この辺が解けないならもう勉強時間を作ってバリバリやるしかないよ!どのぐらいやってんの?日曜日とか」(お!ナイスな質問)

「え、日曜日すか?え~……時間は測ったことないんで…ちょっとアレっすね…」

「大体でいいからさ」

「ん……え~……7時間……ぐらいですかね…」

菅野「えっ?7時間?たったのそれだけ?」

私 「はぁ?7時間?時間測ったことないって言うからどのぐらいやってんのかと思ったら……たったのそれっぽっち?測ってないっていうのは『寝る時間以外全部勉強なんで…』って意味じゃないの?」

思いもかけず二人から同時に突っ込まれた生徒は、やや動揺しながら言いました。「ね…寝ている時間以外全部すか…」

菅野「そうだよ。だって例えば朝9時からやったとしてさ、7時間って言ったら夕方4時だよね。そこからもうやんないってこと?」

私 「7時間って言ったらそういうことだよね…。お前随分余裕あんなぁ…。普通受験生にとって、日曜日なんてカネを出しても買いたいぐらいだろうに」

生徒は「えっ……そうなんですか……」と緊張気味に答えます。

菅野「そうだよ!普通この時期の受験生は朝起きてから夜寝るまでずっとでしょ。少なくともオレはそうしてたよ。朝だいたい9時ぐらいから始めてさ、夜12時ぐらいまではやってたよ」

私 「そうそう。だいたいお前さ……勉強に特効薬なんてないんだよ。短時間で劇的に変わるなんてありえないの。

 まあもっともお前は、7時間は結構やってる方だと思っていたんだろうがね。俺らから言わせたら、そんなの準備運動レベルだよ。

 オレの高校の頃の話をしたっけ?」

そう言うと、奥で勉強していた高3男子が「あー、その話面白いよ!」と言いました。

「そうか、お前にはまだ話してなかったかもしれない。

あれは前期試験を終えて、後期試験までの2週間の話だけどね。前期試験を終えた直後、あまりの出来なさに落ちることを確信したオレは家に着くなり母親にこう言った。

『たぶんオレは落ちた。これから後期に向けて猛勉強する。学校にも行かない。ときどき部屋におにぎりと水を持ってきて』

そして、真っ白い紙の束を机に積み重ねて、時間も忘れて数学の問題を解きまくった。問題を解いて解答を確認したら、その紙は丸めて床へポイっと捨てる。いちいちゴミ箱の穴の中へ入れるのは面倒だからね。

そして、問題を解いてはポイ、解いてはポイと床へ放り投げる。

そのうちどうにも眠くなったら、少しだけ…という気持ちで紙の束を枕に寝る。そして2時間ほど経ったくらいかな
…これではいけない!と起き出して、また問題に取り掛かる。

よく睡眠はとった方がいいという人がいるけどね、こっちはそんな余裕はないんだよ。この2週間、今までと変わらぬ生活をしていたら、次の1年を棒に振ることは確実だ。

ときどきオレの友達が電話をくれた。

学校にも来ないでどうしたのと。そして、予備校をどこにする?っていう相談。できれば一緒のところにしたいんだけどってね。

オレはいま、後期に向けて勉強中だと言ったら、後期なんて受かるわけないだろと笑われたよ。

そんな感じで、周囲があきらめている中、頭が足りないオレは無我夢中で勉強した。何日か経って、母親から『やっぱり前期、落ちてたね』って言われた。その結果は予想通りだったから、『あっそう』ってな感じだったけどね。

とにかく今が何日の何時なのか、夜なのか朝なのか全然分からないまま、一心不乱に勉強した。

風呂に入る時間ももったいないから入らない。多分当時のオレは相当臭かったろうね。

トイレに行く時間ももったいなかった。赤ちゃんとお年寄り用のオムツは売ってるけど、受験生用オムツがあったらたぶん相当売れるだろうなと思ったこともあった。ふふ…バカだね。

そして、試験前日の夜、『明日なんだから、ちゃんと布団に寝なさい』と母親に言われた。

もうそんなに経ったのか……いよいよ明日か……と思って、ふと我に返って部屋を見ると……すごかったな、あれは。4畳半の部屋の辺り一面にビシーッとね…丸めて捨てた紙クズが一面に敷き詰まっていてね。歩くとザクザク、雪のように足首が埋まるんだ」

「ほ…ほんとすか」

「ホントだよ。自分でもビックリしたな。オレは2週間の間にこんなにやったのかって。世の中にこれだけやったやつがほかにいるんだろうかって思ったよ。

翌日、試験会場に行って辺りの顔を見たとき、なんとなく勝ったと思った。試験用紙が配られたときも、まだ問題を見てもいないのに妙に落ち着いていた。前期のときはドキドキだったけど、後期のときは波風一つない水面のように心が穏やかだった。

数日後、受かったとき、周りから『工藤は天才だから』と言われた。
『今ごろ知ったのかよ!』っておどけてみせたけど、本音は違うよ。
これほどの努力を人は天才というのかとしみじみ思ったね。」

講師や生徒、みんな私の話を興味深そうに聞いていました。

「ということで、数学が上がらなくて悩むヒマがあったら勉強しろってこと。寝る時間以外全部勉強だ。ね?菅野君」

「そうそう!千歳もそうだったでしょ?」

去年まで塾生で、今は講師をしている東北大の千歳君に話の矛先が向くと彼は恐る恐る言いました。

「あ…いやボクは…7時間もやったらスゴイ方でした…」

「はぁ~~……」私はため息をつきました。
「まあ千歳でも入れたということで…。昨今の学力低下問題はイカンともしがたいね」

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プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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