高校入試の仕組みが変わる④

前期試験がなくなるシリーズの最終回。

今の高校入試が抱える問題、「高校における課題」とは…です。それでは。

※過去の記事
part.1
part.2
part.3

以下、「 」は県の答申にあったものから抜粋。

<高校における課題>のつづき

・「後期選抜でも十分合格できる生徒が、前期選抜に出願し不合格となっている」

はい、そうですが…

でも前期は募集人数が少ないんだからこれは当たり前では?

力があっても弾かれる人がいるのはやむを得ないと思うけどな。

そこで私は考えました。
なぜこれがお上にとって由々しき問題なのかと。

思い当たったのは2つ。

1つは、
前期不合格の人が後期でランクを下げる…つまり良い人材がほかに流れるのを気にしたのでは…と。

過去の記事にもあるように、前期がダメだった人の一部は、たとえ後期で十分受かる実力があっても、「自信を失い」、「志望校を変更して」しまうものです。

そうやって優秀な人が本来入学して研鑽を積むべき進学校から逃げてしまう。それを気にしたのかな…。

志望校を下げても、その人がモチベーションを失わずに勉学に励んでくれればいいですけれど。

でもなかなかそううまくは行かないんだよな。環境の影響は大きいから。

ということで人材流出説が一つ。

2つ目は、
前期不合格が、本来後期でも受かる生徒の自信を削ぎ、下を向かせてしまうぐらいなら、前期そのものを取っ払いましょう。

そうすれば彼らのマインドは守ることができる、とのご判断かなぁ…と。

だとしたら過保護だなと思わなくもないけど、15歳の年齢をどう捉えるかはなかなか難しい問題です。

過去に、二高合格確実と言われていた少女が前期不合格に大変なショックを受け、勉強に手がつかなくなり、結局後期は受けずじまい。

そんなことなら前期なんか受けなければ良かったのにと親も教師も塾の先生も言う中、本人は私立へ進み…やがて中途退学し…家に引きこもって…みたいなパターンも経験済みです。

人間、壁にぶつかって、落ち込み、悩み、それを乗り超える経験は、人生のどこかで必ず訪れるもの。

だけどそれはもうちょっと後でいいのでは…ということなのかもしれない。ということで、心のケアー説が一つ。

でもこれだと入試一本化で、生徒はますますビビることになるかも…。そう考えると難しいですね。

やっぱり、人間、胆力だな…と思いました。

**************

・「前期選抜に合格した生徒は、入学までの2ヶ月間で学習習慣が失われている」

確かに。中3の最後の2か月はすべて習い終わっているものを駆使するという意味で、一番学力が伸びる時期です。

ここを不勉強で過ごすのは非常にもったいないですよね。

でも、これは前回も書いたように成績優秀者はそうでもありませんよ。

私の知る限りこれに当てはまるのは I 吹ちゃんぐらいで、あとのみんなは勉強のペースが落ちません。

ああいう危機意識はどうしたら芽生えるんだろう。生まれつきなのかなぁ…

**************

・「入試の時期が在校生の考査や成績処理の日程と重なっていることで、学年末に向けた在校生への補充授業や大学進学に向けた高校3年生への進路指導・学習指導を十分に行うことが出来ない状況がみられる。」

これこれ。入試一本化になれば、高校側にとって一番大きいメリットはこれでしょう。

先生方は中学生の受験業務よりも、こういう本来のお仕事で、宮城のレベルを底上げするために頑張っていただきたいと思います。

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<その他>

・「前期は出願条件があるため、全ての受験生に対し、平等に受験機会が与えられているわけではない」

そうですよ。生徒間だけでなく、中学校間の格差はどうするんですか。

内申点で良い数字をバンバンくれるあの学校は有利、めったに5をくれないあの学校は不利。

そんなのがまかり通る現状はおかしいですって。まあ、後期もだけど。。。

・「前期の募集割合が少ないため倍率が高くなり、結果として多くの不合格者を出す」

まあ、これは勝負事なので仕方がない。

前期に手を挙げた人はこのぐらい覚悟するべきだし、県もそういう教育を目指さないといけません。

・「前期を受験する生徒は、国語・数学・英語の3教科に力を入れ、社会・理科の学習を軽視する傾向が見られ、学習状況にも偏りが見られる」

ナンバースクールの入試は、小論がほぼ理社なのでこれを軽視している人は受かりません。

でもほかの学校は普通の作文が多いから生徒の多くは軽視しまくりですね。

・「前期選抜は中学の学習をまだ修了していない段階での学力検査だから、学力の高い生徒が早期に合格するための機会となっている」

これも確かに不平等。
2月1日で相似や三平方を自在に使える生徒は、進学塾に通って、とうに先取りを終えている生徒や、親が先回りして教えられる家庭の子供以外には考えられません。

だから「学力の高い生徒」ではなく、「先取りを終えている生徒」という表現にしてほしかった。そういうことをしていなくても「学力の高い生徒」はいますから。

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高校入試の仕組みが変わる③

3/14の県の答申で、現在の高校入試前期試験に「さまざまな課題があることが改めて明らかとなってきた」とありました。ではその続きを。

☆前回までのあらすじ

前期試験があるために…

・入試が長期化している
・不合格で精神ダメージ大
・後期で志望校を下げる人がいる
・入りたい高校ではなく、出願できるところを狙う人がいる

だから前期試験をなくそうか、という話でした。さて、今回は…

※過去の記事はこちら↓
part.1
part.2

**************

<中学における課題の続き>

・「前期選抜合格者の、授業に対する意欲が低下し、後期選抜に向け学習に意欲的になっている生徒との間に温度差が生じる」

ハイ…まあ普通はそうですね。偏差値的にいうと50以下の生徒はそうなるケースが多いです。

でも、50後半から上では意欲が落ちないケースが多いかな…経験的に。合格を決めた翌日も、普通に授業前に自習にきますね。

むしろこっちが言っちゃいます。「受かったんだから少しは遊んだら?」って。

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こちらがそう言っても、生徒のほとんどは、

・後期のみんなが必死だから、このまま何もしなかったら入学後に差が出てしまう…

・自分は数学がダメだから今のうちにもっとやっとかないと…

・合格したのはマグレ。自分はバカだからもっとやんないと高校についていけない…

など、気の毒なくらい危機意識があることが多いですね。

でも逆にそのぐらい根を詰めてやれる人だから合格したのかも。

だからこの記事を読んだとき、
トップクラスの人で、合格後すぐに「授業に対する意欲が低下」した人っていたかな…って逆に思っちゃいました。

……あ、一人いた。

発表前日まで「絶対落ちた~!!」と言って人の何倍も勉強しておきながら、受かってすぐ勉強をヤメて星ドラに熱中した I 吹ちゃんが…

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・「学年末の時期に、入試事務が切れ目なく続くことにより、学校の教育活動や在校生への指導が十分にできない状況がみられる」

そうそう、これね…中学校の先生方、お疲れ様でございます。

でも高校の方が採点とか選抜とかもっとタイヘンだろうにと見ていたらこれが…↓

<高校における課題>

・「入試事務が3ヶ月間途切れなく続くことから、授業時数が十分に確保できず、在校生に対する本来の教育活動に支障が生じている」

ですよね~。高校の先生方はどうぞ高校生のレベルアップに時間を費やしてください。

特に一高の先生方は他と違って前期に条件を設けていないので、今までさぞかしタイヘンだったでしょう。おそらく前期消滅に一番喜んでいるのは一高では。枷がなくなった暁には今度こそ打倒○高目指してがんばってください!

(つづく)

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高校入試の仕組みが変わる②

<つづき>

3/14の県の答申で、高校入試前期試験に「さまざまな課題があることが改めて明らかとなってきた」とありました。ではその続きを。

(  )内は私の個人的感想です。

**********************

<中学における課題の続き>

・「前期選抜において、「出願できる要件」を満たしている高校を選択し、「入りたい高校」ではなく、「受験できる高校」を選択している状況がみられる」

(いますいます。

偏差値60以上ありながら、「ここだったら前期で行ける!」と進学先を下げる生徒、下げさせる保護者は毎年少なからずいらっしゃいます。

あなただったらここは受かるよ、こちらの方が将来の選択肢も広がっていいと思うよと高いところのデータを示しながら言ってもダメ。もう前期しか見えていません。

なぜこうなるのかというと、それはその方々にとって「出願できる条件」というのは蜘蛛の糸だからです。

ここでちょっと芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の話をすると、

地獄で苦しんでいる罪人の中にカンダタという男がいた。

カンダタは殺人や放火もした泥棒であったが、過去に一度だけ善行をしたことがあった。

それは林で小さな蜘蛛を踏み殺しかけて止め、命を助けたことだ。

それを思い出したお釈迦さまは、彼を地獄から救い出してやろうと、一本の蜘蛛の糸をカンダタめがけて下ろした…

その話のつづきは置いておきますが、これを高校受験に置き換えるとこうなります。

中3の真冬、受験勉強地獄で苦しんでいる生徒たち。

しかし、お釈迦さま(教育委員会)は見ていた。過去、中1、中2の頃に善行をした生徒たちを。

それはどんなつまらない授業でもお行儀よく聞き、態度、提出物、考査を不備なく過ごした者たちだ。

それを思い出したお釈迦さまはその者たちを受験地獄から救い出してやろうと、一本の「出願できる条件」という糸を垂らした。

その糸にはこうあった。

「内申点4.0以上の者よ。さあ、つかまりなさい。英検をお持ちなら3.8でも構いません。

あなたはこれまでよく頑張りましたね。

でももう苦しむ必要はないのです。

あなたにはバラ色の高校生活が待っています。

あなたなら大学も推薦して差し上げましょう。

さあおいで、我がしもべよ。

昇ってくるのです―そして我が校の…」

おお~っと、これ以上は!
どうも、フザけ過ぎました…。

話を元に戻すと、毎年、受験勉強を地獄の苦しみと捉えている生徒たちが少なからずいます。

そういう生徒たちは早くアガれるならアガりたいから、出願できる条件に当てはまっているならもうそこでいいやとダイブする…と、こういう流れなのですが、そうしたくなる気持ちは分からなくもありません。

でもそうして選んだ学校で、高3になって気がつきます。

「先生、私、行きたい大学見つかりましたが、数Ⅲ数Cってなんですか?」

「ああ…でも君の高校ではそもそも開講されていないようだな」

「え…」

「君なら十分やれる実力は持っていたが…こればかりはどうにもならない…」

「そ…そんな…なんで中学のとき言ってくれなかったんですか…」

「そこまでは知らなかった。とはいえ、あのときもっと上を勧めたはずだな」

つづく

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高校入試の仕組みが変わる①

高校入試の仕組みが見直されることになりました。

結論から言うと、今の中1が受験するときから、

前期試験がなくなる方向で話が進められているようです。

この前期試験について、3/14の県の答申には、

「一定の効果が認められる一方で、様々な課題があることが改めて明らかとなってきた」とあります。

さてその「課題」とは…

中学校における課題と、高校における課題があるようです。

以下、(  )内は私の個人的感想です。

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<中学における課題>

・前期不合格者のために、前期合格発表から後期出願までの期間を2週間確保しており、これが入試の長期化の一因に。

(そうですね…前期に全精力を傾け、結果が不合格だった生徒からすると、その1か月後に本番と言われてもピンとこないようです)


・「前期で不合格になったことにより、自信を失い、精神的な回復に時間を要する生徒が多く、」

(これはいます。圧倒的に女子に多いです。だいたい、見てくださいこれを。

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願掛けは普通「志望校合格」だと思うのに、女子は「前期合格」と書くんです。早く楽になりたいんですね。

それだけ前期”命”と力んでいる生徒がもしダメだったら…

おっしゃる通り、自分に自信をなくし、そして―)


・「一部には、志望校を変更して後期選抜に出願する状況もみられる」

(そうなります。「志望校を変更して」って柔らかく書いてますが、志望校を「下げて」願書を出します。

ダメモト受験の仙台一高はともかく、

宮一がダメなら南に…南がダメなら三桜に…

三桜がダメなら名取北に…名取北がダメなら名取に…と志望校を下げる生徒や保護者は一部どころか結構いますよ。

「落ちたくない…」とあえぐ女子や、「なんとか公立高校に!」と願う保護者などです。

そういう方々からすると、逆に前期試験は保険をかけられるという意味で良かったんでしょうが…なくなるんですよね)

つづく

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入試制度にガックリ…②

<前回の続き>
「前期に出願できる条件」のキモは部活の県大会などではありません。

それはもちろんアレです…「内申点」…。

「出願条件」をクリアできるかどうかということに関して一番注意すべき点は「平均評定」を満たしているかどうか、これこそがポイントなのです。

たとえば…
仙台二高⇒4.8(または4.3で部活の県ベスト8以上)
二華高⇒4.7(または4.5で県大会)
仙台三高⇒4.3
宮城一⇒4.5
向山・泉⇒4.3
仙台南⇒4.4(及び通信簿に1か2が一回でもあればアウト)
三桜⇒4.2
仙台東⇒4.0
仙台西⇒3.8(または3.5で県大会か検定準2級)
名取北⇒4.0(または3.8で部活3年間か検定3級)

などとなっています。
これはどうなんでしょうね。みなさん、どう思われますか?
キツい数字ですか?それとも妥当でしょうか?

塾をやっている私からすると、これは大変にキツい数字です。

中2や中3の途中から入ってくる生徒を見ていると特にそう思います。

たとえば、塾に来る前の成績を見ると平均評定3.0ぐらいしかないけど、塾に来た後ぐんぐん力をつけて受験のころには偏差値60以上、平均評定4以上、南や向山なら合格判定Aクラスなんてケースは毎年ざらにいます。

二つ前のブログで書いた、200点台から400点台へ上がった生徒もそうです。
中1の通信簿を見るとヒドいけど、今はがんばって良くなった。しかし…

そういう生徒は前期は受けられません。
やはり過去の通信簿が響いて平均評定が足りないのです。
テスト勝負なら十分勝機があるのに…。

従ってこういう人は後期試験を受けるしかありません。

しかし、その後期の募集割合が低くなった。

これは言い換えると、人生一度でも失敗すると終わりですよ。
あとからの努力は報われにくくなりましたよということです。

はぁぁぁ~~~~どうしてこうなるかなぁぁ………
失敗を反省し、改善し、努力して得られた成功ほど尊いものはないと思うのですが…

と…愚痴ったところでしょうがない。

前期が増えるなら前期対策を入念に行わないと…というのが今の気持ちです。

具体的には、今秋から前期試験を受験する予定の生徒たちを対象に、「小論文対策」を行います。

中身は、まず生徒たちに作文小論文を書いてもらう。
そしてそれを外部のプロの添削機関に添削してもらうという内容です。

詳しくは改めてホームページ等でご紹介します。

**********************
(おまけ)

「4.8だと?アエルの受付嬢でもそんなにお高く留まってはいないぞ」
「条件」に書かれている数字の大きさに半ばあきれていたとき、ふとあることが脳裏をよぎりました。

「一高は…違うよな…」

私はとっさに一高のページをめくりました。
一高まで前期重視、内申点重視になっていたらこの県ももう終わりだ。

真のリーダーは通信簿なんかじゃ測られない。
過去がどうであってもここぞというときに頼りになる者、
頭脳による一発勝負を勝ち抜ける逞しさを持った者、そういう人間がこの国を強くするんだ。

せめて一高だけはそういう連中の集まりじゃないといけないんだが…

期待を込めてページをめくると、そこにはこうありました。

<仙台一高>
・前期20%、後期80%
・「前期の出願条件」⇒平均評定の記載なし

うわ~~~!!!
私は鳥肌が立ちました。
増えてない!前期が増えてない!

その後一通り調べると、仙台一高のほか仙台工業と宮城野高校も昨年と同様でした。
前期の募集定員増にはなっていません。

「おお、市工も!宮城野も!」
まるで断崖絶壁の岩場にポツンと咲いていた花とでも言いましょうか、名前を見つけたとき「こんなところによく生き残っていたな…」という思いがしました。

素晴らしい!
改革なんてどこ吹く風!
媚びてない!まったく媚びてない!

特に一高は今年も「平均評定関係なし」と来たもんだ。
いや~まったく…なんてすがすがしい学校なんだ!
愛してる!結婚してください!

「オール1だろうが構わぬ。頭さえよければそれでよい」
資料の一高のページから声が聞こえてきました。

「誰を愛そうがどんなに汚れようが構わぬ。最後にこのラオウの横におればよい」
ラオウがユリアに言ったセリフまで聞こえてきました。

その話を隣にいる遠藤先生(一高出身)に言うと、「いや~素晴らしい!」と言って腹を抱えて笑っています。

私はとうとう頭がおかしくなったようです。ではこのへんで。

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プロフィール

hyperlearnig

Author:hyperlearnig
<塾長> 工藤 豪

大学卒業後、半導体エンジニアの道へ進む。
2年後脱サラし、生徒らとの一喜一憂をもとめて2000年に塾を設立。

地域の学力に貢献しているかは不明も、成績を伸ばしたいと考える彼らのために日夜奮闘中!

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